神をみる機能

2015.02.10 (Tue)
これは実際に幽霊がいるかどうか、の議論とは直接関わりないものであることを、
始めにおことわりしておきます。

ゴッドスポットという言葉をご存じでしょうか?
これは人間の脳が有する機能の一部と言われますが、現在でも賛否両論があります。
概要を説明しますと、脳、特に右側頭葉には、神を感じる神経回路、
すなわち「ゴッドスポット」なるものがあるという説が現在提出されているのです。
この部分を電気刺激することで、神と出会う、
あるいは神の声を聞くという体験をすると言われます。
神ではなくても、そこに存在しないはずの人を実感する、などのことがあるようです。

また、この部分が原因と考えられる側頭葉てんかん患者は、
そうではない人間よりも宗教的な言葉に強く反応することが実験で確認さています。
この実験の主要メンバーの一人である神経科学者ラマチャンドランは、
ゴッドスポットではなく、それこそ「人に宿る神の像」にあたる「神のモジュール」が、
側頭葉内部にあるという説を唱えています。

この話を聞いて自分が思い起こすのは、
かつてのヘビー級のプロボクサーである、ジョージ・フォアマンの事例です。
兵役拒否のためにチャンピオンを剥奪されたモハメド・アリと、
アフリカ、キンシャサで対戦し、KO負けで王座から転落した著名なボクサーです。
彼はアリ戦後も戦い続けましたが、格下であるジミー・ヤング戦で、
最終回にダウンを喫して判定負け、その後のロッカールームで突然、
「神を見た」と言いだし、28歳で電撃的に引退してしまったのです。
1977年のことでした。

その後は宣教師となり、長年布教活動を続けましたが、
10年後の1987年に突如カムバックし、1994年、
WBA、IBF世界ヘビー級王者マイケル・モーラーに挑戦し(45歳)
下馬評を覆し10ラウンドKO勝ちして、
20年ぶりの世界王座奪回を成し遂げました。

この試合は自分はビデオで見たんですが、
勝利後フォアマンがコーナーポストにひざまずき、
神に感謝の祈りを捧げている姿が印象的でした。
ボクシングの話が長くなってしまいましたが、
この事例、特に敗れた後のフォアマンが控え室で神を語り始めたくだりなど、
ゴッドスポット仮説と何か関係があるのではないかという気がします。

さて、ゴッドスポット仮説を肯定する科学者側は、
人間の脳には、神や魂、死後生などを実感させる機能が備わっている、
と考える場合が多いようです。
これは架空の存在である神を想定してしまう機能を、
人間は生まれながらにして持っていると言い換えてもいいでしょう。
逆に一部の宗教者には、人間には生まれながらにして、
神(この場合は実在の神ということですね)とコンタクトする機能を備えている、
という見解もあるようです。

では、科学者側が正しいとして、脳に神などの宗教的存在を見る機能が、
生まれつき備わっているのだとしたら、それはなんのためなのでしょう。
人間の諸機能というのは、基本的には生存競争に打ち勝ち、
生き延びるためのものであると言っていいと思います。
神を見ることができれば、生存競争に有利なのでしょうか。
ここで、このような仮説をつけ加えてご紹介します。
これはゴッドスポットとは直接関係なく、
哲学と科学の間に橋を架けて議論されることの多い「クオリア」についての、
討論の中で出てきたものです。

クオリアの説明は難しいのですが、Wikiのものを借りると、
『簡単に言えば、クオリアとは「感じ」のことである。「イチゴのあの赤い感じ」
「空のあの青々とした感じ」「二日酔いで頭がズキズキ痛むあの感じ」
「面白い映画を見ている時のワクワクするあの感じ」といった、
主観的に体験される様々な質のことである。』

つまり、われわれがイチゴと言えば思い浮かべるあの赤い色は、
脳内のどこでどうやって出てくるのか、
といったことが問題となっているわけですね。

心理学者ニコラス・ハンフリーは、これについて、
人間にとって意識が不可解に思えるのは、
そういう錯覚を生み出す機構が脳内にあるからであり、
そして「不可解に思えること」それ自体が進化的な意味を持っている、と言います。
つまり意識が不可解に思えるという錯覚が、
不滅の霊魂や来世といった信念の余地を残し、
それにより知性を持った人間を完全な絶望からくる自殺から遠ざける、
といった意味を持っただろうとするのです。

意識はきっぱりと科学では割り切りにくい、研究しにくいものであり、
「クオリア」は現在のところ、その象徴とも言えます。
意識がそのようになっているのは、
人間が来世や死後生を想定することができるようにするためで、
それが絶望による自殺を防いで、
人類の種の保存に優位に働くという論旨です。
どうでしょう、もしこれが正しいのであれば、ゴッドスポットもまた、
人間に神や魂、死後生について考えさせるために、
遺伝的にプログラムされた機能である可能性もあるのではないでしょうか。

ネット上には多くの心霊写真や心霊動画が氾濫し、日本では少ないですが、
欧米では天使の画像などもよく見かけられます。
霊や魂に関心を持つ人間は実に多いのです。
宗教にまで範囲を広げれば、
世界各地でさまざまな宗教が熱心に信仰されています。
これはもしかしたら、人間にそのようなことを求めてしまう機能が、
生まれつき備わっているからかもしれないのです。

さてさて、だいぶ話が難しくなってしまいました。
実際のところ、仮説に仮説を積み上げた内容ですので、
これが正しいというつもりはまったくありません。
最後に、幽霊に関連して面白い情報があります。
ゴッドスポットは脳の側頭葉にあるとされますが、
この部分には人間の持つ機能の様々な中枢があり、嗅覚の一次中枢もここです。
もしかしたら、幽霊の体験にはこのことも関わりがあるのかもしれません。
様々な汚染による臭いから側頭葉を刺激され、
そこに存在しないはずのものを見てしまう・・・
こういった可能性もありえるような気がします。






関連記事
スポンサーサイト

トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/669-12eddb25
トラックバック
コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| 2015.02.11 23:08 | 編集
コメントありがとうございます
ブログ拝読させていただきましたが
内容が難しく理解するまで時間がかかりそうです
bigbossman | 2015.02.12 16:26 | 編集
管理者にだけ表示を許可する