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動物ラジオ

2015.02.15 (Sun)
チューニング1

始まったのは小学校6年のときだよ。よく覚えてる。
日曜日の午後に佐々木って友だちの家に遊びに行って、
他のやつと佐々木と3人で部屋でゲームやったりしてた。
そしたら佐々木のお母さんが顔を出して、
「今、おやつ切らしてるから、そこのコンビニで何か買ってきなさい」
って佐々木に金を渡した。コンビニは200mくらい離れたとこにあるんだよ。
で、俺はそんときマンガ読んで夢中になってたから、
佐々木ともう一人のやつの2人で出かけたんだ。
どうせ10分くらいで戻ってくるわけだし。
数分たったあたりで、「ガガガガ、ザザザザ」っていう雑音のような音が聞こえた。
ちょうどラジオの雑音みたいな感じの。

「え、ラジカセとかあったっけ」と思ってそっちを見たら、
佐々木の家で飼ってる犬がいたんだ。いまだに名前がわかんないけど、毛が長い室内犬。
それがこっちに向けて口を開いて、そっから「ガガガ」の音は出てるように思った。
「なんだこいつ、変な芸するな」としか思わなかった。
そしたら雑音が急にはっきりした音声になり、
「今日2時過ぎ、○○県、○○市の路上で大型トラックが舗道に乗り上げる事故があり、
 歩いていた少年2人が巻き込まれ、一人は即死、一人が軽いケガを負いました」
こんなふうに言ったんだ。「ええ!?」ってなったよ、もちろん。
声は男の声で、アナウンサーみたいにはっきりしたしゃべり方。
そっちを見てなけりゃテレビだと思ったろうね。
犬は、きょとんと無邪気な顔をして口をこっちに向けているだけ。

で、それがあってすぐ、外で救急車とパトカーのサイレンの音がした。
こっからは言わなくてもわかるだろ。
コンビニに向かった2人だったんだよ。お母さんが入ってきて、
「息子が事故に遭ったという電話がきたから、今日は帰ってね」そう言われた。
コンビニとは反対側だけど、近くまで行ったらたくさんの野次馬が出てた。
怖くてそれ以上近寄れず、そのまま家に戻った。
佐々木が亡くなったって知らせを聞いたのは夜になってからだよ。
もう一人は転んだときに足をねんざしただけ。葬式があって、
クラスの委員長と担任が出たし、それ以外にも男子の大部分はお線香をあげに行った。
俺も行ったけど、犬の姿は見えなかったな。
このことは誰にも言ってないよ。頭がおかしいと思われるに決まってるから。

チューニング2

2度目は社会人になってからの話。俺は高卒で大きな街に出て就職したけど、
職場に高校の5つ上の先輩がいて、一から仕事を教えられて可愛がってもらったんだ。
仕事は住宅関係だけど、俺も先輩も現場じゃなく事務のほうだったんだ。
でね、その日は2人で見積書を作ってた。
そしたら社長の奥さん、専務が顔を出して、市内の現場にものを届けてくれって言われた。
「行きます」って言おうと思ったんだが、
先輩が「俺が行くよ」って先に言ったんで黙った。
外に出ると店に寄ったりとか息抜きができるから、先輩にまかせたんだ。
専務はもう一人の女性事務員と倉庫に行って、俺一人でパソコン打ってたんだ。
そしたら、その貸事務所で買ってるインコ、鳥かごがつるしてあって、
専務がいつも世話してるんだけど、そっちから「ガガガガ」って音が聞こえた。

そう。小学生のときに聞いたやつだよ。そのときすぐに思い出した。
同じ音だったからだろう。おそるおそる鳥かごを見たら、
黄色のインコがクチバシを少し開けて、そっから音が出てた。
そして「○月○日午前10時頃、○府○市の国道で、○○住建所有の4tトラックが、
 中央分離帯を乗り越えて反対車線に出て対向車と衝突。
 トラックの運転手は即死、反対車線のミニバンの乗員2人に軽いケガ」
こう言ったんだよ。確かに聞いた。幻聴とかじゃないよ。
前と同じ男のアナウンサー口調だった。
それを言い終わると、インコはすまして横を向いた。
先輩の携帯にすぐにかけてみたんだが、不通。電源が入ってないようだった。
それから5分ほどして、会社の固定電話が鳴って・・・

インコの言ったとおりだったよ。
トラックは横転して、さらに後続の対向車ともぶつかってってぐしゃぐしゃ。
警察の調べでは、先輩はまだ20代なのに、
急に脳関係の発作を起こした可能性があるってことだった。
その先輩は結婚してて、1歳の長男がいたんだよ。奥さんも悲嘆にくれてて、
だから葬式のときはほんとうに気の毒だった。
この事故の場合は、相手にはまったく責任はないわけだし、お金の面でもね。
インコ? いや、それからもずっと仕事場にいたけど、
同じようなことは起きてない。寿命で死んだんじゃなかったかな。
・・・この話も誰にもしてないよ。だって、信じるやつがいるわけないじゃないか。
で、これから10年以上何もなかったんだが・・・

チューニング3

この2回のことは、ときおり思い出して考えたもんだよ。
犬や鳥がしゃべることはありえないし、出てきたのも動物の鳴き声じゃなかった。
だから、もしかしたら未来の放送のニュースの電波が、何かの間違いでたまたま拾われて、
俺のところに届いたんじゃないかって。
あともう一つ、俺にはもしかしたら予知能力みたいなのがあって、
それがあんな形で自分に伝わるようになってるんじゃないかってこと。
つまりあれらは、俺の頭の中でしてるのに、なぜか動物の口から出てるように聞こえる。
だけど俺以外のやつには聞こえないんじゃないかってね。
うーん、2回とも俺一人のときに聞いたことだから、結論は出ないよ。
それとこの2回は、こんなこと言っちゃいけないんだろうけど、
親しい友だち、よくしてくれた先輩ではあったけど身内じゃなかった・・・

こんなことがあって、動物は飼ったことがないんだ。
犬猫だけじゃなく、カメとか昆虫もね。身近にそういうのがいなけりゃ聞きようがないだろ。
それと動物がいる場所も避けるようになった。
鳩がいる公園なんかも。でも、避けきれるもんじゃないね。
そう思って見ると、けっこうあちこちで観賞魚とか飼ってるし、野生動物も身近にいる。
スズメだってそうだし。でね、話は今日の午前中なんだよ。
俺はあれから住建をやめて、宅配便の配達員になった。
外回りは嫌だったけどしかたない。結婚して子どもが2人いるんだよ。
今日の午前は10数軒個人宅を訪問したんだが、その最後のところ。
玄関を開けるとでかい水槽があった。金魚を飼ってるようだったけど、
手入れが悪くて水が苔で緑色に濁ってた。中が見えないくらい。

荷物を引き渡して、判子を取りに奥さんが引っ込んだとき、
水槽から大きな金魚が浮かび上がってきた。20cm近くあったんじゃないか。
それが水面に口を出して、あの音が聞こえたんだよ。「ガガガガ、ザザザザ」って。
「○月○日、○○保育園で、滑り台の遊具で遊んでいた○○○○さんの長男、
 ○○君5歳が・・・」
そこまで聞いて、俺は水槽に手を突っ込んで金魚をつかんだ。
ぬるぬるしてたけど上手くつかめたんだよ。そして思いっきり力を入れた。
金魚は「キュキュ」みたいな音を出して水を吐き、嫌な感触を手に残して沈んでいったんだ。
そこにその家の奥さんが戻ってきてね。
金魚を潰してるとこは見られなかったはずだ。判子をもらって外に出、
すぐ保育園に電話したよ。何事もなかった。女房に電話して息子は保育園から家に戻させた。

「○月○日」ってのは確かに聞いたから、今日が過ぎれば大丈夫だと思うんだ。
家の近くには公園もないし、滑り台なんてない。
長女といっしょにずっと目を離すなって女房には言ってある。
たまたまここのことは知っててね、こうやって時間を割いて相談に来たんだ。
なあ、これって何が起きてるんだ?息子は大丈夫なんだよな。

バッドチューニング

「○月○日、午後11時、○○保育園において前庭に成人男性が倒れているのが発見され、
 死亡が確認されました。警察が現在身元の確認を急いでいます。
 頭部に大きな損傷があり、近くにあった滑り台から頭を下に落ちたと見られています。
 現在事件と事故の両方で捜査が進められているとのことです」







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コメント
 恐らく最後の「ニュース」は・・・だとすると悲劇を回避しようとして別の悲劇に行き着いたわけで、遣る瀬無いですね。
 また、語り手氏の怪異への解釈が現代的で面白いです。霊感というより超能力なのかも? オカルトのテーマとしては一大ジャンルなので、いつか管理人さんのお話を聞きたいところです。
 それと、今回の話で「世にも奇妙な物語」を思い出しました。あれはだいぶ創作寄りだったけど(実際ショートショートなんかも原作になっていたはず)、怖かったなあ。
| 2015.02.16 23:08 | 編集
コメントありがとうございます
古来から動物の口を借りてお告げがあるというような話はありますが
それとはまた違う感じですね
会談ルームのメンバーも最後の悲劇を防げなかったようです
bigbossman | 2015.02.17 23:20 | 編集
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