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電人M子

2015.02.16 (Mon)
早朝ジョギングをしてるんです。ここ1ヶ月くらい。
ええ、理由はダイエットなんですけど、あと1ヶ月後に結婚するんです。
それで、少しでもスタイルよく見せたいと思って。ムダな努力かもしれませんが。
2週間ほど前です。その日も6時から走り始めたんです。
コースは家の周囲で、距離は決まってないんですが、30分間です。
その日の気分によって、家を出てから向かう方向を決めます。
その日は体調がいい感じがしたので、アップダウンのあるコースにしました。
5分ほど走ったところに陸橋があるんです。下は川ではなく線路。
その上りを走りながら、何気なく下に目をやりました。
線路が4本通っていて、横に変電所のような鉄柵に囲まれた建物があります。
白い大きな電極のようなのも見えるんですが、その上に、人の姿がありました。

「あれっ」と思いました。そんなところに入れるはずないのに。
そうですね、距離は50mくらい離れてるでしょうか。
だから細部ははっきりしないんですが、白い服を着た女の人に見えました。
電極の上でバランスをとるように、両手を広げていました。
「えー、立ち入り禁止なのにどうやって入ったんだろう?」と見る間に、
その人は横に伸ばしてた手を上に持ち上げて合わせ、
水泳の飛び込みのようなポーズになったんです。そして次の瞬間燃え上がりました。
緑色の嫌な感じの炎でした。そして炎は電線を伝わって、陸橋の上まで駆け上ってきました。
私の頭の上まで来たんです。そして電線の上をメラメラ光りながら、
すごいスピードで伝わって消えていったんです。私の家の方向でした。
変電所内にはもう人の姿はなかったです。

「おかしな物を見たなあ」と思いました。目の錯覚、あるいは幻覚だろうかって。
そうでもなきゃ説明がつきませんよね。
ジョギングを終え、シャワーを浴びて会社に出かけました。帰ったのが6時過ぎです。
家に入ると、母が「今日はいろいろあったよ」と言ってきました。
ええ、母親と2人暮らしなんです。父は早くに亡くなりまして、
姉がいるんですが、結婚して県外に出てます。母が言うには、
「午前中、家の前の道路で事故があったよ。軽トラが電信柱に突っ込んだの。
 ケガ人はいないよ。音がしたので見にいったら、運転してた人がすぐ下りてきて、
 自分で警察呼んでた。電信柱も少しコンクリがはがれ落ちたくらいで、
 停電とかそんなことはなかったよ。
 今、支柱を立てて補強してあるだけ。気がつかなかったかい」

「それとね、午後になってお前を訪ねてきた人がいたよ。
 高校の同級生でM子さんって言ってた。お前が結婚するって話を聞いて会いに来たって。
 また来るかもしれないよ」
これはちょっと驚きました。M子は高校時代同じバレー部で、とても仲よかったんですが、
ずっと疎遠になっていたんです。それが・・・理由というのが、
高3のときに彼氏のバイクの後ろに乗って事故って、大ケガしちゃったんです。
顔から上半身にかけてです。命は助かったんですが、何度も手術をくり返して、
退院してから家に引きこもっちゃったんです。
噂では、ひどい傷跡が残って、それを恥じているということでした。
入院中も、見舞いにいこうとしたんですが、すべて断られちゃったんです。
ですから、今は私の携帯の番号なんかもしらなかったんでしょうが、
家まで訪ねて来てくれるとは予想外でした。

M子の顔のことが気になったので、母に聞いてみました。
「えっ、顔? そうだねえ、のっぺりした感じで色が白い人だなと感じたけど、
 傷跡なんてなかったと思うよ。携帯の番号だって言ってメモを置いていった」
・・・そのときは、すっかり治ったんだな、よかったと思ったんです。
その夜、メモの宛先にかけてみたんですが、
「おかけになった電話番号は現在使われておりません」のメッセージが出て・・・
久々に話ができると思ったのに、ちょっとがっかりしてしまいました。
それにしても、解約した番号を教えるはずもないし。
それから何回かかけ直してみたんですが、同じだったんです。
その夜です。夜中の2時頃ですね。私の部屋は2階にあって、
結婚後は彼の家に入るため、かなり片づけてありました。

その窓とカーテンごしに、バチバチバチという大きな音が聞こえたんです。
目を開けると、窓全体が緑色の光に包まれてました。
「え、え」起き上がって、カーテンを開けました。
そしたら屋根の上に、緑色に燃える女の人が立ってたんです。
すぐ間近、2mほどのところです。
女の人は後ろ向きで、服を着ていたんですが、炎の緑が強くて、
柄も色もわかりませんでした。「あ、あの変電所のときの」すぐに思い出しました。
女の人はこちらをふり向こうとはぜず、トントンと軽い足取りでトタンの上を跳びはね、
端で大きくジャンプしたんです。「あ、落ちる」
でも、落ちませんでした。そのまま緑の炎の固まりとなって人の姿は消え、
近くの電線を伝わって上に駆け上がり、すごい速さで電線の上を遠ざかっていったんです。

M子との関連ですか? 確かに考えたんですが、顔は見えませんでしたし、
背格好も緑の炎でよくわかりませんでした。
ただ、私の知っている高校当時のM子は短い髪で、
その人の髪は肩くらいまであったと思います。だからなんとも言えないです。
ああそれから、翌朝になって屋根を見たんですが、
焼け焦げや、トタンの異常はなかったと思いました。
母にあったことを話しましたが、
「この頃あまり眠れないけど、バチバチなんて音は気がつかなかったね。
 お前の夢じゃないのかい」こう言われただけでした。
それから、M子のことは気になってたので、高校時代の連絡網を出して、
当時の番号にかけてみたんです。これも不通でした。

それから数日は何事もなく、その朝もジョギングしようと玄関を出たんです。
そしたら、まだ車通りのない家の前の道を、
一台の軽自動車が猛スピードでこちらに向かって走ってきたんです。
私は車の運転はできませんが、ちょっと考えられないスピードに思えました。
怖くなって門の近くまで下がりました。近づくにつれて、軽自動車の屋根の上に薄く、
緑色の炎が立ち上っているような気がしました。
それと、運転している人・・・フロントガラス越しに、
気味悪い緑色の仮面をつけているように見えたんです。
軽自動車は猛スピードのまま、私の家のすぐ前まできて、
急に向きを変え、ドカーンとすごい音とともに電柱に激突しました。
私まで衝撃で倒れそうになるほどでした。

電柱はくの字に折れ曲がり、フロントガラスが割れて、
中から運転していた人が外へ半分飛び出し、
大量の血が変形したボンネットにぼたぼた落ちていました。
首がおかしな方向にねじ曲がっていました。乗っていたのは一人で、
女の人だと思いました。仮面をつけていると思ったのは見間違いではなく、
それがややずれてあごのあたりがのぞいていました。
私が何もできずに呆然と突っ立っていると、
近所の家から人がぱらぱらと出てきて、口々に話し始めました。
起きていた母も、家から出てきて「ああ、これは」と言いました。
やがて救急車とパトカーのサイレンが聞こえてきました。「下がって下さい」と、
回りを囲んでいた人は警官に押し出されました。

それでも家の門の中に入って様子を見ていたんですが、救急隊員の手によって、
女の人はそろそろと引き出され、そのときにかぶっていた仮面がはがれ落ちました。
仮面のせいか、顔に傷はなく・・・というか、
そのときの事故でついたような傷は見あたらなかったんですが、
顔は皮膚が大きくひきつれ、左の目がふさがっていました。
でも、私には誰だかわかりました。M子だったんです。
ふり返って母を見、「こないだ家に来た人?」と聞きました。
母は「あんな傷はなかったよ。でも、わからない」そう言いました。
後日わかったんですが、運転者は即死で、やはりM子でした。
近くの町に一家で引っ越していたようなんです。遺体から薬物が検出された、
という話もありました。・・・なぜ私の家の近くまできたのかはわかりません。








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コメント
 「電人M」子! どんな作品かも覚えていませんが、少年探偵団の数あるタイトルの中でもインパクト抜群でしたね。おかげでこの話が頭に入らず、もう一度読み直しましたw
 読み直した結果ですが、更にもう一度読んでも分かりませんw アメコミ的ミュータント話かと思ったら、普通に(?)事故死してしまうし・・・でも妙に印象に残る話ですね。
| 2015.02.16 23:26 | 編集
コメントありがとうございます
これは乱歩の作品のタイトルだけを借りたもので
内容はあまり関係はないですね
時間がなくちょっとぶっきらぼうな感じの書き方になりました
bigbossman | 2015.02.17 23:22 | 編集
少年探偵団では、鉄人Qというのもありましたな、たしか……。
ポール・ブリッツ | 2015.03.01 18:20 | 編集
コメントありがとうございます
あの乱歩の少年物はどれもほぼ同じというか
今の小学校の図書室にもそろってるのがスゴイと思います
bigbossman | 2015.03.01 21:21 | 編集
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