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未来はたゆたう

2015.02.23 (Mon)
自分は量子力学の観測問題において、
エベレット3世の「多世界解釈」をけっこう支持しています。
ただまあ、自然科学の専門ではないので「そうであったら面白いな」くらいなんですが。
量子力学の観測問題というと、よく話題に上がるのが
「シュレディンガーの猫」の思考実験です。ご存じの方も多いでしょう。
少し長いですが、Wikiから引用します。

『まず、蓋のある箱を用意して、この中に猫を一匹入れる。箱の中には猫の他に、
 放射性物質のラジウムを一定量と、ガイガーカウンターを1台、
 青酸ガスの発生装置を1台入れておく。もし、箱の中にあるラジウムがアルファ粒子を出すと、
 これをガイガーカウンターが感知して、その先についた青酸ガスの発生装置が作動し、
 青酸ガスを吸った猫は死ぬ。しかし、ラジウムからアルファ粒子が出なければ、
 青酸ガスの発生装置は作動せず、猫は生き残る。一定時間経過後、
 果たして猫は生きているか死んでいるか。』


つまりアルファ粒子が出るかどうかは確率的にしかわからないので、
観測されるまで猫は1:1の確率で、
生きている状態と死んでいる状態が重なり合っているのではないか、というわけです。
これはあくまでも仮想の思考実験ですので、
実際にこの実験をやるのは不可能ですし、マクロとミクロの接続はできないとか、
猫の生死を観測する人も、さらに大きな箱に入っていて、その外にも観測者がいる
(入れ子構造になっている)場合、どうなるのか、とか様々な批判が出ています。
さて、この問題についての一つの答えが、
プリンストン大学の大学院生であったヒュー・エヴェレット3世が考え出した、
「多世界解釈」です。

彼は、観測前の猫の生死の重なりは、世界の分岐によって解決できると考えました。
つまり、世界が、生きている猫を観測した観測者がいる世界と、
死んだ猫を観測した観測者がいる世界に分岐すると考えたのです。
そして猫の生死が確定した瞬間に、二つに分かれていた世界は元に戻る。
ここで誤解してはいけないのは、世界はずっと分かれているわけではなく、
結果が出ると同時に元に戻るということですね。
この考え方は、コペンハーゲン派による
「波動関数の収縮」という考え方と、結果として基本的に同値となります。

これに触発されてSFでは「平行世界」というアイデアが流行しました。
『ジョジョ奇妙な冒険』の第7部「スティール・ボール・ラン」に出てくる敵役の大統領は、
平行世界を自由に行き来して、死にそうになったときに他の世界の自分と入れ替わることで、
不死に似た力を持っていました。
あと、時間旅行、特に過去への旅行したときに起きる「親殺しのパラドクス」を、
回避する手段としてもよく使われます。
過去に戻って自分が生まれる前に親を殺してしまえば、自分は存在できないのですが、
これは自分がいる未来の世界と、戻った過去の世界は、
非常によく似ているが平行した別の世界であって、
そこで親を殺したとしても現在の自分は影響を受けない、とするような用い方ですね。

天才シュレディンガーの話をしたところで、もう一人、
天才ファインマンの「経路積分」についても少し触れます。
彼は量子電磁力学におけるくり込み理論への貢献で、
朝永振一郎らと同時にノーベル賞を受賞しましたが、
そこで出された経路積分(経路和)の考え方は画期的なものでした。
これを説明するとなると非常に長くなってしまいますので、よく使われるたとえ話をすると、
A地点からB地点へ移動する場合、AからBへの直線経路だけではなく、
Aを出発してから、あちこち曲がりくねってBに着いたり、
宇宙の果てまで行って戻ってきてBに着いたり、確率的には極小ですが、
さまざまな経路があって、その無数の経路を積分したものが実際の経路になる、
というものです。

余談になりますが、日本の天才、朝永振一郎は第二次世界大戦の最中、
世界の物理学界とはまったく切り離された状態で、超多時間という独自の理論を用いて、
彼らよりも早く同じ結論にたどり着いています。
これがノーベル賞の対象になったのは当然ではありますが、
当時の物理学界はフェアであったなという感想もありますね。

さて、ここからは空想物語ですので真面目に聞かれても困ります。
時間について、物理学的にわかっていることは少ないのです。
確実と言えるのは、時間には方向があるということです。時間の矢などとも言います。
過去から未来に向かって進んでいる、と考えるのが一般的でしょうが、
実は未来から過去に流れているのかもしれません。
そう考えている人もいないわけではありません。
われわれ人間は、瞬間、瞬間、現在のつながりでしか時間を意識できません。
未来はある程度予想できますが、必ずしもそうなるとは限りません。
もしかしたら明日、突然交通事故死してしまうかもしれないのです。

未来は多数の可能性が重なり合った状態で、たゆたっているのかもしれません。
上の例で言えば、あなたが8時に家から出勤し、6時に退勤してくる。
その間無事である確率は極めて高いのですが、
どこかで事故や事件に巻き込まれて急死する確率が、
ほんのわずか重なり合って存在していると言えないこともないと思うのです。
生きているあなたと、死んでいるあなたが重なり合った状態。
それが未来から流れてきて現在になる瞬間、
これはシュレディンガーの猫の話とよく似ている気がします。
やはりフタを開けてみるまでわからないのです。








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コメント
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| 2015.02.23 23:54 | 編集
コメントありがとうございます
リンクはフリーですのでいくらでもどうぞ
こちらこそ有難いです
時間については、物理の本を読んでも驚くほどわかっていません
方向性があること、最小単位(プランク時間)があるのではないかということ
相対性理論では時空連続体といって
空間と切り離しにくいものであること
せいぜいそのくらいです
bigbossman | 2015.02.24 01:15 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| 2015.02.24 01:34 | 編集
コメントありがとうございます
時空連続体というのは空間3次元時間1次元ということですね
他の次元というのは超弦理論とかで出てきますが
あるかどうかはわかりませんね
bigbossman | 2015.02.24 07:32 | 編集
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