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禁煙コンサルタント

2015.03.26 (Thu)
*ナンセンス話です

ケース1

うちの会社は業界誌をつくっててね。何の業界かは言わないでおくよ。
でね、ここ1年ばかり会社内を全面禁煙にするかどうかの話が出てたんだ。
俺? 俺はタバコ吸ってたんだけどね。
まあ、そういう話が出たとしても、どうせ不可能だろうとたかをくくってた。
というのは、うちの副社長がまず吸うんだよ。
それにこういう業界だから、来客も吸う人が多いし
それに常務と編集長も喫煙者。だからせいぜいが分煙だろうって思ってたんだ。
したらね、非喫煙者の社長はけっこう本気らしく、
外部から禁煙コンサルタントってのを招いてきた。
若いのかそうでないのか、歳のよくわからないのっぺりした顔の陰気なやつでね。
いつも略礼服にも見える黒いスーツ着てた。

そいつが初めに提案したのはまあ常識的な線で、医者の禁煙外来に通って、
もし禁煙に成功した場合は医療費を半額補助する制度の導入。
これはどこでもやってるだろ。
ただなあ、外回りの営業は一歩会社の外に出ればどっかで吸うだろうし、
編集部のほうは、校了の時期は会社に1週間近く泊まり込みなんだよ。
その間わずかな仮眠をとるだけだし、タバコ吸うのは眠気覚ましにもなる。
残業代が出ない代わりに、忙しい時期でなきゃ出勤時間も自由なんだ。
そんな具合で、もともと禁煙には向かない職種なんだよ。
案の定、禁煙外来にかかったのは30人ほどの社員のうちで2名だけだった。
それから、次は分煙所をつくって建物の中を禁煙にした。
分煙所たってね、会社のビルの裏の植え込みの陰だよ。

そこにアーケードみたいな布製の屋根をかけて、水の入ったバケツを置いただけ。
これは不評もいいとこだったが、社長から言われたんでどうしようもない。
ないけど、せっかく原稿書きがノッてきたところで、
中断して1階まで降りて外に出なきゃなんないわけだからね。
副社長もしかたなく来てたんだけど、いつも文句たらたらで、
「そのうち社長に分煙撤回させるから」って言ってた。
ところが、その副社長が入院してね。病名は教えてもらえなかったが、
どうやら肺癌だったみたいなんだ。
あれよあれよと1か月ばかりで亡くなってしまった。
まあねえ、副社長は会社にいる間だけで1日2箱は吸ってたからね。
家で吸う分もいれれば、3箱か4箱・・・肺癌になるのも無理はない。

でね、病気は嫌だとは思ったけど、それでもまさか自分はって考えるだろ。
ほとんどのやつは吸うのをやめなかった。そしたらね、
コンサルタントのやつが、分煙所のところに変な黒い石を置いたんだ。
禁煙に効果のある鉱物と言ってたけど、どうみても材質が御影石、
つまり墓石みたいな感じだった。むろん墓石ほどの大きさじゃなかったけど。
それから何があったかっていうと、出たんだよ。
何がって? そりゃ副社長の幽霊。昼3時過ぎから8時ころまでだな。
タバコ吸ってると、ふーっと横に白っぽい影が立つんだ。
死んだ副社長なんだよ。どっから伸びてるのかしらないが、
鼻に酸素の管をつけてね。咳き込みながらうらめしそうにというか、
うらやましそうに、じっとこっちがタバコ吸ってるのを見てから消える。

こりゃたまらんだろ。だからその分煙所は誰も利用しないようになって、
ぶらぶら会社を離れて、歩きながら吸ってから帰ってくるんだ。
したらね、今度は会社の入り口のところに副社長が立って、
こっに顔を近づけてクンクン鼻を鳴らしてから消える。
ニコチンの臭いを嗅いでたんだろう。裏口でも表のほうでも同じだったよ。
これにはまいったっていうか、さすがに考えた。
肺癌とかで死ぬのが怖いってのもあるけど、それよりも、
たかがタバコにそこまで執念を燃やしているのが、なんか憐れになってきてね。
ああ、自分も外から見ればこんな感じなんだろうかって。
それから禁煙外来に通うやつが急に増えて、会社の禁煙化はあっという間に進んだんだ。
副社長の幽霊はコンサルタントが石を撤去したら出なくなったよ。

ケース2

アプリ開発の100人規模の会社に勤めてます。この仕事って発想が命なんですよ。
だから一人一人のデスクは仕切りのあるブースに分かれてて、
服装も自由だし、音楽を聴きながらでも、
たて続けにコーヒーを飲みながら仕事してもいいんです。
要はどれだけアイデアを出して売れる商品を開発できるかの勝負ですから。
でもね、さすがにタバコの煙があちこちからあがってるのはまずいだろうってんで、
会社のほうで禁煙コンサルタントの人を雇ったんです。
これが、しわひとつない顔なんだけど髪は白髪交じりで、
よく年齢のわからないような人だったんです。
いつも黒いスーツを着てて、暗く沈んだ感じのしゃべりかたをするんで、
陰で密かに、死神ってあだ名がつけられたくらいです。

この人の提案が、指定の禁煙外来に通院して、
もし成功したら、医療費を半額補助するってもので、
これはけっこう利用者がいまして、禁煙者はかなり減ったんですよ。
それでも、どうしてもやめられない、
あるいはやめる気がないって人のために分煙所がつくられました。
会社のビルの屋上の一画です。それまでは屋上には出られないようになってたけど、
入り口のドアに鍵をかけないようにし、
鉄柵で畳2畳分ほどの仕切りをつくってそこに水の入ったバケツを置きました。
これなら気兼ねなくタバコが吸えるんで、
最初のうちはよかったと思ってたんですが・・・
自分らの仕事は、しょっちゅう中座しても誰からも何も言われないですし。

ところがね、そこでタバコを吸うと不味いんです。
おいしく感じられないってことですよ。
それだけじゃないんです。なぜかその場所にいくと鼻血が出る。
自分だけじゃなくて、そういう人は何人もいたんですよ。
あるときなんかは、3人がその分煙所で鼻血を出し、
ティッシュを詰めたまま並んでタバコを吸ってるっていう、
ギャグみたいな場面もありました。
でね、だんだん残った喫煙者も数を減らしていったんです。
もう、最後のほうには5人くらいしか残らなくて。ええ、それには自分も入ってました。
あるときですね、そのうちの一人とそこでタバコを吸ってだべってたら、
そいつの喋りが急におかしくなったんです。舌がもつれてきて。

何だ、どうしたんだ?と思っていると、そいつは「あ、あ、あ、あ」と言いながら、
空の一方向を指さすようにしてドーンと後ろに倒れ、
コンクリの床で強く頭を打ちました。
抱き起しましたが、大きないびきをかいて意識が戻らない。
それで動かさないようにして応援の人を呼びに行き、
救急車に連絡してもらったんです。
ええ、その人はその日のうちに亡くなりましたよ。いわゆる脳卒中ってやつですね。
救急隊員が到着するのを待って、その人のそばについていたんですが、
さっき倒れるときに空を指さしたのを思い出して、そっちの方角を見ると、
5つほど離れたビルの屋上に大きなパラボラ型のアンテナがあって、
先端がこちらの分煙所のほうを向いてたんです。

えー、いつからそうなってたのか気がつきませんでした。
でね、その巨大なアンテナのかたわらに人影があるのが見えました。
遠いのではっきるとはわかりませんでしたが、
黒いスーツを着て、あの禁煙コンサルタントの人に、
背格好が似ている気がしたんですよ。
鼻血が出たのも、脳卒中を起こしたのもそのアンテナのせい?
うーん、そうも考えないことはなかったんですが。
普通そこまでしますか? 強力な電磁波とかを使って喫煙者を攻撃する・・・
さすがにありえないですよねえ。







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コメント
bigbossmanさん、こんばんは!!^^

別の意味で、怖いっす、この禁煙コンサルタント。殺人罪じゃないのかなあ。^^;
くわがたお | 2015.03.28 17:13 | 編集
このコンサルタント、これまでにも度々登場した「例のあの」方ではないかと妄想しながら拝見しました。読み手の想像は自由ですよね?(笑)
朔 | 2015.03.28 20:25 | 編集
コメントありがとうございます
ナンセンス話なんでジョークみたいなもんですが
喫煙者は実際、肩身のせまい世の中になりました
bigbossman | 2015.03.28 23:20 | 編集
コメントありがとうございます
そうかもしれませんが、なんとなく彼にしては短絡的な方法
という気もします
bigbossman | 2015.03.28 23:21 | 編集
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