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子どもの頃の話2

2015.04.12 (Sun)
力石

うちの近くのお寺さんだな。うん、神社のほうじゃない。
後ろ向かいになってたから、どっちで起こったことか間違えるときがあるんだよ。
お寺の・・・墓地の端の辺だな。ゆっくりした斜面になってて、
その下に力石と呼ばれる石が10個ほど置かれてたんだよ。
いや、特別大事にされてるふうもなくて、放置されてるって言ったほうがいいな。
それは言い伝えでは、昔の・・・たぶん江戸時代から明治初期頃の、
集落の若い人が力試しをするために使われた石ってことになってた。
そんなに重いわけじゃないんだよ。50kgくらいなのかなあ。
それを担いでお寺のまわりを何周も走ったって話だったから。
だから縦長で、肩に担ぎやすい形状をしてたんだ。
で、小学校の6年のときのこと。

そのあたりで3人でアイス食ってたんだよ。
棒アイスっていうかな、当たりつきのやつ。
俺ともう一人が斜面に腰かけて、高雄ってやつがその力石の上に座った。
うーん、罰が当たるとは考えなかったけど、
座るもんじゃないとも思ってたな。
だけど高雄が気にする風はなかったし、俺らもなんも言わなかった。
子どもだから、アイス食うのが早いっていうか、
最後までなめてられないんだよな。途中でまどろっこしくなって齧ってしまう。
それで頭がキーンと痛くなるっていう。
そういえば、冷たいものを食べて頭が痛くなる経験って最近してないよな。
ああ、スマン話がそれてしまった。

で、夢中で食っていると、高雄のほうから「ううっ」って声が聞こえたんだ。
見ると高雄がアイスを咥えたまま、
座ってた力石を両手で頭の上に持ち上げてたんだ。
俺らはそれを見て仰天した。そりゃ力石っていうくらいだから、
何度か動かそうとしてみて、子どもには無理だってわかってたからね。
それが、転がして向きを変えるくらいしかできないのに、
重量挙げみたいに頭の上に差し上げてたんだからそりゃびっくりする。
「ああ、高雄すげえ」 「どうやってやったんだよ」
高雄は真っ赤な顔でしばらく頑張っていたが、
どんと草むらに石を投げ落とし、「アイス食ってたらなんか、
頭の中で持ち上げろって声がして、やってみたらできた」

こんなことを言ったんだ。俺らもすぐやってみたけど、
膝までも持ち上がらなかったし、不思議なことに高雄も2度とはできなかったんだ。
確かに高雄はその年ごろとしては大柄で力も強かったけど、
俺らと同じ程度しか持ち上がらない。できたのはその1回きりなんだよ。
まあこんな話。俺だけじゃなく、もう一人のやつも見てるから嘘じゃねえよ。
で、その後なんだけど、高雄にはっきり罰が当たるとかはなかった。
病気とかになったわけじゃない。むしろ、そのときの3人の中で、
高雄だけがアイスがもう一本の当たりだったんだし。
ただな、その年の秋祭りに神社のほうでやった奉納相撲。
高雄は優勝候補筆頭だったんだけど、総当たり戦で一勝もできなかったんだ。
みな変なか負け方をして。これは何か力石のことと関係があるのかねえ。

放置自動車

昔のことだからのんびりしたもんで、
あちこちに動かなくなった自動車とかが放置されてたんだ。
今でも見ないわけじゃないけど、それは人の家の敷地内とかだろ。
そうじゃなくて、当時は大きめの用水路とかに軽自動車が落ち込んだりしてて、
だれも引き上げないでそのまま放置されてたりしたんだよ。
ガラスが割れて、車体が錆だらけになったような状態で。
で、ダムへ行く細い県道のがけ下に、大型の乗用車が放置されてた。
これはだいぶ前に事故で転げ落ちたものだって話だったが、
運転者や同乗者が死んだってわけではなかったんだ。
そのまま夏場は草の中に埋もれてたんだけど、冬枯れの時期に町の話題になった。
たまたまそれを上の道から写真に写した人がいて、

その人が現像した写真を確めたら、
フロントガラスに人の顔が映ってるように見えるので、
新聞社に持ち込んだんだ。
うちのほうの地方新聞だけど、それが載ったんだよ。
もちろん一面、二面とかじゃなく、コラム欄にちょこっとだけどね。
うん、間違いなく、横ざまに倒れた車のフロントグラスの隅っこに、
その写真では人の顔があるように見えた。目も鼻も口もある。
ただし、髪が映ってなかったから男とも女とも言いにくかったけど。
で、その写真が掲載されてから、パチンコくらいしか娯楽のない町だったから、
見物人がわっと押し寄せたんだよ。
といっても一日200人程度だったらしいけど。

場所が両脇が崖と谷の一車線の道で、車でいくしかないとこだから、
駐車が場所が大変だったみたいだけどね。
こっからは俺の叔父さんから聞いたことだよ。母親の弟なんだ。
その叔父さんは地元のテレビ局で夕方のニュース番組作ってて、
1週間ちかくその場所に通ったんだよ。
でね、叔父さんにはいくら見てもフロントガラスの人の顔は見えなかった。
そんとき来てた野次馬でも「見える」って言った人は少なかったってことだった。
ただね、その場にきた人は一様に、
「あの車を見てると寿命が縮む気がする」という意味のことを、
インタビューで答えたそうなんだ。

叔父さんもそれは感じたって言ってたな。
実際、1回見にきた人は二度と顔を見かけなかったって言ってた。
まあこれは、1回見ちゃえば気が済むだろうし、
そんなもんなんだろうけどね。叔父さんが作ったテレビ番組も見たけど、
幽霊については否定的なスタンスだった。だけどその番組の放送途中から、
局のほうに、「今放送してる車のフロントガラスに幽霊が映ってる」って電話が、
じゃんじゃんかかってきたってことだった。
さすがに番組のビデオとかは残ってないと思うなあ。
で、叔父さんなんだけど、この3年後、俺が高校生のときに、
取材スタッフと乗ったミニバンが渓流に転落して亡くなったんだよ。
その放送した現場からは5kmくらい離れた場所だったんだけどね。

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