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土着系話の反応

2015.04.27 (Mon)
今回もあまり時間がなく、反則的なブログ内容です。
まず最初に、自分が書いた土着系の怖い話(黒民話)を採録します。
それほど長いものではありません。

土用坊主

子供の頃に住んでた地方に伝わる土用坊主の話。
土用は年4回あって、この土用の入りから節分
(新暦2月の豆撒きが有名だがこれも年4回)までの約18日間は、
草むしりや庭木の植え替えその他、土いじりをすることは忌まれていた。
この風習は中国由来の陰陽五行説からきたようだが、
この期間に禁を破って土いじりをすると、
土用坊主という妖怪というか土精のようなものが出てきて、
災いを為すと言い伝えられてた。

土用坊主の姿はあいまいで、土が固まって人型になったもの、
あるいは巨大なミミズ状のものという目撃談が多いようだ。
ただ別伝承の中には土の人型がだんだんに崩れて、
その人の一番嫌いなもの、見たくないものに姿を変えるという話もある。
これはかのハリー・ポッターシリーズに出てくるまね妖怪に似ている。

出身地の旧村はほとんどの家が農家だったので、
実際には土用の間すべて土いじりしないのは無理がある。
だからそこいらでは立春前の土用は慎まれていたけれど、
それ以外の期間は土にさわっても問題なしとしていた。
春の期間もおそらく田畑関係のことは除かれていたのかもしれない。

ある中程度の自作が庭の木の下に金を入れた壷を埋めていた。
この百姓はじつに吝嗇で、
嫁をもらったものの婢のようにこき使って早くに死なせたし、
実の両親に対しても年寄って弱ってくると、
ろくに飯も与えず一部屋に閉じ込めきりにして、
やはりぱたぱたと死なせていたという。
また小作や使用人への当たりもたいそう非道いものだったらしい。
そうして溜め込んだ、百姓にはそれほど必要のない金銀を、
夜中にこっそり壷から取り出しては、
暗い灯火の下で数えるのが唯一の生き甲斐だった。

まだ冬のさなかのある夜、この百姓が夢を見た。
どこか遠くのほうから土の中を掘り進んで百姓の家にやってくるものがある。
人ほどの大きさもあるミミズで頭に人の顔がついているようだが、
夢の中のせいか霧がかかったようにはっきりしない。
その化け物が生け垣の下から庭に入り込んできて壷のある場所にいき、
壷を割って中の大切な金銀をむさぼるように食べている。
そしてすべて食べ終わると、
ぐるんぐるんと土の中で輪をかいて踊るという夢だ。

この百姓にとってこれほど怖ろしいことはない。
たんなる夢とは片づけられないじつに気がかりな内容だった。
そこで次の日の夜中に、土用にもかかわらず壷を掘り出してみることにした。
龕灯と鍬を持って庭に下り掘り返すと、
壷は割れた様子もなくもとのままで、口にした封にも変わった様子はない。

やれうれしや、と壷を手に取ると壷の下に幼い女の子の顔があった。
その顔は両目からたらたらと涙を流していて、
一気に百姓の肩あたりにまでのびあがった。
夢で見たとおりの土まみれのミミズの体をしていた。
目の前で涙を流している顔を見て百姓はあっと思った。
それはずいぶん昔に人買いに渡した自分の娘の顔だった。
こういうのが土用坊主らしい。


この話について、某まとめサイトではこのような感想をいただいていました。

・DQN爺ザマァ!を期待していたんだが…

・土用坊主よりもこの百姓がいかに鬼畜な守銭奴かって話しだよな
 げに恐ろしきは生きてるヒトなり、だ

・せめて発狂のオチくらいあってくれないと、こんな奴の犠牲になった家族
 (と言えるのかすら甚だ疑問だが)が報われなさすぎる

・土用坊主っていうのか・・・うちの方でも土用(特に夏の)の間、
 家の造作や井戸掘りは避けるよ。釘一本でもだめだって言われる。
 十年ほど前にうちの畑の西側が宅地化されて6軒ほどの家が建ったとき、
 土用に起工したってんで随分爺ちゃん達が姦しかった。
 でも購入したのがみんな三十代前後の人たちだったにもかかわらず十年の間に
 5軒の家から葬式が出たところを見ると何かしら根拠はあるのかもしれないね。

・普通は土公神というね。もともと道教由来陰陽道の神様。
 仏教ライズされて土用坊主になったんだろうね。

・そんじょそこらの怖い話より何倍も怖かった…
 正直今まで読んだ怖い話の中でこれが一番怖い
 景色を想像すると本当に恐ろしすぎる
 人の念も怖いしそれが作りだす悲しい妖怪も怖い


土用の土いじりが忌まれている地方というのは実際にありますし、
現在でも一部の土木会社では配慮されることがあるようです。
また土用坊主自体も神奈川県で信じられていたという妖怪で、
水木しげる先生によりキャラクター化もされています。
自分が黒民話を書く場合は、
始めから話すべてを創作するということはあまりありません。
日本の民間信仰や民間伝承に関するネット辞書などをつらつら眺めているうちに、
それを生かしたアイデアに至るのです。
できるだけ日本の民話は読むように心がけているので、
そういうものの内容が頭の中でガラガラポンされて、
話ができてくるという感覚もあります。

この話では、百姓が最後にどうなったのか、
土から出てきた娘の顔をしたものが本当に土用坊主なのかは、
話として書かれてはいませんが、
自分は京極夏彦氏の
「あまりに恐ろしすぎる(人間の起こした)話は、
 出来事全体が妖怪の名をつけられて封印される」
といった考え方に共感しており、
そのためにわざとあいまいな結末としています。

『土用坊主』水木しげる






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