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攻撃

2015.05.02 (Sat)
*ナンセンス話です。

もうだいぶ前の話だよ。俺はそんとき中学生だった。
ちょっとヤンチャな仲間に入っててね。けど、悪さはタバコと深夜徘徊くらい。
それ以上危ない、たとえばクスリ系とかはやんなかった。
あ、あと万引きだな。この話の発端が万引きなんだよ。ちょうどコンビニでき出して、
町の雑貨屋や小スーパーにとって代わり始めたころでね。こんな噂が広まったんだよ。
コンビニはスーパーみたいに、すぐに万引きを警察に突き出したりしないって。
ある程度はホントだったようだよ。ただな、仲間の一人がやりすぎちまった。
缶酎ハイとつまみの乾きものをくり返し万引きしてたら、
ついに店長にとっつかまって警察と親に連絡され、後になって学校にも知れた。
まあ今にして考えれば自業自得もいいところなんだが、当時、
それを聞いた仲間の俺らは憤慨して、そのコンビニに復讐しようってことになった。

けどよ、中学生のできる復讐ったって限られてるだろ。
商品を荒らしたりガラス割ったりするのはさすがにハードルが高い。
見つかって下手すれば家裁の審判までいくし、
そうならなくても親が弁償することになる。
で、相談の結果出てきたのが、その店を呪ってやろうって案だった。
いや、その時代はオカルト流行ってたんだよ。
テレビでも頻繁に特集が組まれてたし。
でもな、呪いのやりかたなんて誰も知らなかったんだ。
当時は・・・ネットが始まったばかりの頃で、その手のホームページは珍しかったし、
そもそも子どもが自由にできるパソコンそのものが少なかった。
唯一知ってるのが藁人形に釘を打つやつだったが、
さすがに中学生だったから、そんなの効かねえだろうなって思ってた。

そしたら仲間の一人が、
「俺のバアちゃん、今、老人専用の病院に入院してて、かなり危ないらしいんだ。
 けどよ、まだ意識はあるから、もし死んだら、
 幽霊になってそのコンビニに出てくれるよう頼んでみようか」って言い出した。
俺らはそれ聞いて、「これは」って感じるものがあった。
「でもよ、万引きを警察にチクられた復讐ってったら、
 お前のバアちゃん、そんな頼み承知しないだろ」
「そらそうだけど、そこはなんとかごまかすんだ。そうだな、俺ら無実だったのに、
 そこの店長から濡れ衣を着せられて警察に突き出されたってのはどうだろ」
「うーん、しかしそれ信じるか」 「バアちゃんはずっと入院してるから、
 俺の親が頻繁に学校に呼び出されてるとか知らないんだよ。

 それに、最近は見舞いに行っても眠ってることが多いんだ。
 起きてるときも半分ボケがかかってて、女学生だった頃に戻ってるのかもって、
 親父が言ってた」 「おまえのバアちゃんが学生の頃っていつだよ」
「第二次世界大戦中。なんかずっと若いころの夢を見てるみたいなんだよ」
「それだと、寝てるときに頼んでも効果はあるんじゃないか」
「でもよう、○□のバアちゃん、けっこうしぶとくこの後何年も生きてるかもしれないよな」
「しぶとくって何だよ。もちろんそのほうがいいにきまってるだろ」
「もめるなよ。夏休み前まで○□のバアちゃんが生きてるなら、
 それはけっこうなことだから、別の方法を考えることにしようぜ」
「とにかくバアちゃんには、幽霊になったらコンビニ店長を懲らしめるよう頼んでおくよ」
こんなやりとりをしたんだ。

で、それから1週間たたないうちに、○□のバアちゃんは亡くなり、
やつは2日ほど学校を休んだ。その後出てきたときに前の話がどうなったか聞いたら、
「ばっちり頼んどいたよ。俺らが商品の袋が破れてるのをわざわざ知らせてやったのに、
 万引き扱いしたって言ったら、ベッドの上で憤慨してね、
 葬式が済んだらその翌日に、そこのコンビニに幽霊になって出てやるって
 約束してくれたぜ」 「葬式はいつだよ」
「明日。俺はまた休むけど、そん次の日はなんとか家を抜け出してくるから、
 例の店の前に夜9時に集合な。店の外で何か起きないかずっと見張ってようぜ」
「おう」・・・ってことになった。どうだろうな、そんときは半信半疑ってよりも、
やっぱ何も起きないだろうって気のほうが強かった。
ただまあ、○□のバアちゃんは約束してくれたっていうし、もしかしたらって・・・

その日仲間4人がコンビニの前に集合した。
全員チャリにまたがったまま、店の駐車場でスタンバイ。
中の様子は外からガラス越しにだいたい見える。
そこは店長は夜の12時までのシフトで、それからバイトと交代する。
だから、12時までは見てようって。
・・・1時間が過ぎたが何も起きない。当時コンビニはまだ珍しくて、
高校生やそれより上のやつらもたむろしてることがあったから、
俺らはチャリで動き回りながら見張りを続けてたんだ。
途中のどが渇いたんで、目の前に店があるのに、
別のとこの自販機に一人を買いに行かせたりもした。そのうち11時を回った。
「ふわー、あと1時間しかないぜ。○□のバアちゃん本当に出てくれんのか」

仲間の一人があくびしながらそう言ったとき、
そいつが「うわー」と叫んで地面に投げ出された。「何だ?」と思う間もなく、
俺らも同じように転がったんだ。
なんでそうなったかというと、またがってた自転車が急に消えたんだよ。
ウオーン、ウオーンというサイレンのような音が空に響いて、
全員が立ち上がったときはあたりが焦げ臭かった。
コンビニのあった方角を見て愕然とした、そっち側が燃えてたんだ。
一軒、二軒の話じゃなく、町中が大火災になってるとしか思えなかった。
「何だよこれ」 「チャリはどこいった?」
俺らが口々に叫んだとき、ドーンという音とともに空に火花が散った。
「あんたら何してる、こんな非常時に!!」

後ろからそう呼びかけられた。
振り返ると、防空頭巾にモンペという社会の資料集に出てくる、
戦時中の恰好の人が立ってたんだ。
頭巾の下からのぞく顔は、俺らより少し年上に見えるくらいの女だった。
「焼夷弾が落ちてる。早く避難所まで逃げないと!!」怒った目をして、
その女の人が言った。ゴーンという音がして、火のついた柱が転がってきた。
「火に巻かれない広場に逃げないと死ぬよ。
 万引きなんて非国民なことをしてるヒマはないよ」
「えっ?!」そんとき、強い閃光で目がくらみ、ドカーンという爆発音が・・・
気がつくと俺らはコンビニのアスファルトの上に全員が倒れてて、
ただしさっきと違うのはチャリがあったことだ。

コンビニの店員がこっちをうかがってるようだったので、
あわてて立ち上がりチャリを起こした。「おい、ケガしてないか」 「何だよ今のは?」
「見たか、火事とサイレンと爆弾」 「俺も見た。まだ熱さが体に残ってる」
「おいお前らの顔・・・」見ると、どのやつもススのようなのが顔に黒くついてて、
肌のむき出しの部分があちこちひりひりした。
「火の粉で火傷してる・・・」 「全員が同じものを見たのか」
「ぜんぜん時間がたってないぞ」一人が腕時計を見て言った。「女の人が出てきただろ、
 頭巾かぶった」 「あれ・・・俺のバアちゃんだと思う、若いころの。
 戦争中の写真はないけど、それ以後に撮ったやつに似てた気がするんだ」
○□が言った。その言葉で俺らは固まってしまった。
ああ、その後はすぐ解散して家に戻った。考えと行動を改めたよ。







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