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妖怪の継承と変遷

2015.05.08 (Fri)
「継承と変遷」と書くと、なんとも大げさなタイトルですが、
これは今思いついたもので、昔から考えていたことではありません。
ですから、たいした内容にはならないだろうことを、
あらかじめお断りしておきます。
今日もまだ長期出張中ですので、お茶濁し的な記事です。

さて、自分は妖怪が大好きで、当ブログにも妖怪の出てくる話はいくつもあります。
それらはできるだけ、ある一定のイメージから外れるようにして書いたつもりです。
ある一定のイメージというのは、現代だと、
水木しげる先生の『ゲゲゲの鬼太郎』に登場したイメージということですね。
「砂かけ婆」と聞けば、多くの人が、まずビジュアルとして、
鬼太郎に出てくるあのイメージを思い浮かべると思います。
「子泣き爺」にしても同様でしょう。

妖怪をビジュアルとして表現してしまうと、
それが広まれば広まるほど、そのイメージでしか見れなくなってしまうのです。
もともと妖怪というのは口承によって伝わってきました。
江戸時代以前の農村というのは、交通手段が発達しておらず、
百姓には移動の制限もあり、また荘園などに囲い込まれている場合も多かったので、
情報の行き来というのが難しかったのです。

ですから、ビジュアル化が進む前の妖怪は、
地域ごとに違った特性や外見を持っていました。
例えばポピュラーな河童ですが、地域によって、
背中に甲羅があったりなかったり、頭に皿があったりなかったり、
あっても皿の向きが違っていたり、
全身に毛が生えているとされる地域があったりするわけです。

これは、ずっとその地方で伝承されてきて、
他地域との情報の交流がなく、いわゆるガラパゴス化が起きているのです。
そんな妖怪のイメージが、ある程度統一化されるようになったのは、
江戸時代中期頃だと思われます。
博物学の隆盛が原因です。寺島良安による『和漢三才図会』が成立したのが、
1712年で、これは中国の「三才図会」を参考にしてつくられた、
挿絵入りの百科事典のようなものですが、
妖怪と呼べるような怪しの物の記述もあります。
これを契機として、黄表紙などによる妖怪図鑑も出されるようになり、
北尾政美の画による有名な妖怪図鑑、『夭怪着到牒』の出版が1788年です。
こうして妖怪は全国に共通する姿かたちを得て、広まっていったわけですね。

この時点で、多くの新しい妖怪が創作されています。
鳥山石燕の『画図百鬼夜行』が1776年、
『今昔百鬼拾遺』が1780年ですが、
前者が昔から伝承されてきた有名妖怪が多いのに対し、
後者には石燕の創作ではないかと考えられるものがかなり混じっています。
また、1784の『百器徒然袋』は、絵の解説文の最後に、
「~と夢のうちに思ひぬ」とあるように、
石燕が自ら、個人的な創作妖怪であることを明かしています。

また他の草双紙や黄表紙作家もさまざまに妖怪を創作していて、
「豆腐小僧」などはその代表格でしょう。
頭に竹の笠をかぶり、丸盆を持ち、その上に紅葉豆腐(紅葉の型を押した豆腐)
を乗せた子どもの姿で、何の特殊能力も持ちません。
(ただし、見た人間が天然痘を避けるなどの縁起物のような力はあったようです。
 小僧の着物の柄の赤ダルマ、鯉、また紅葉も天然痘よけ)
怖くはないし、おそらくギャグとして創作されたキャラクターなのだと思います。

このようにして、ビジュアル化により統一的なイメージが固定され、
さらに、さまざまな想像による新妖怪がつけ加えられていくことが、
妖怪の継承と変遷ということになるわけです。
ですから、現代のわれわれが、最も喧伝された、
水木妖怪のイメージに縛られてしまうのもしかたのないことではあります。
まして現代では妖怪の実在を信じる人は稀有ですし、
そのため現実的な妖怪の情報というのはほとんど入ってきませんから。

さらに、最近、『妖怪ウオッチ』の流行によって、
「ヒキコウモリ」など、大量の新妖怪が加わることになりました。
これらの新妖怪は、江戸時代に洒落物の作家たちに創作されたのと、
本質的な差異はない(著作権がありますが)と思われるので、
何十年後には一般化されることになるのかもしれませんんね。
あとは都市伝説由来の「口裂け女」なども、
妖怪の仲間入りするのでしょうか。

さて、自分が書いた妖怪物は振り返ってみるとけっこうな数になります。
餓鬼『餓鬼』 
『どんたく上人』 『狸』
土用坊主『土用坊主』
水虎『水虎淵』
子獲り『こをとろ』
『蛟』
濡女『濡女』
『ムジナ』
牛鬼『牛鬼』
すねこすり『すねこすり』
『狐』
ぬらりひょん『ぬらり』
垢嘗『垢嘗』
塗仏『塗仏』
などですが、この他にも、鬼、いのこ、蛭子など妖怪かどうか微妙なものもあります。

妖怪物の中では『狐』『土用坊主』『水虎淵』『こをとろ』『濡女』『垢嘗』などは、
比較的よく書けたと思っています。

豆腐小僧






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コメント
いつも楽しく拝見しています。
今回の話は勉強になりましたm(_ _)m
うちのサイトの登場キャラクターは特殊能力はありますが妖怪的要素はありません。今回の記事を読ませて頂いていつか妖怪的要素を取り入れてみたいと思いました( ´﹀` )
r-and-g.com | 2015.05.09 11:06 | 編集
コメントありがとうございます
妖怪の場合は、幽霊とは違って信じてる人が少ないので
どうやってリアリティを出すか
料理のし甲斐があるという感じがします
bigbossman | 2015.05.09 23:02 | 編集
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