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P君

2015.05.17 (Sun)
*オカルト的にではないんですが、ちょっとヤバい話です。

先月初めの土日をかけての話です。反原発の市民団体が主催した、
「ゆっくり抗議マラソン」というのに、彼といっしょに参加したんです。
いえ、私自身はそんな夢中になって運動に参加しているわけじゃないんですが、
彼のほうはけっこう熱心です。
まあ人間が管理することですから、どれほど安全対策を積み重ねても、
事故がなくなるということはないと思うんです。
そしていったん事故が起きてしまえば、地球環境に与える被害は甚大ですよね。
ですから、できるものならなくしたほうがいい、そう思ってはいます。
すみません、話がそれてしまいました。そのマラソンは30kmの距離でした。
これも原発から30km圏内という避難区域とかが関係してるんだと思いますが、
ゆっくり歩いても6時間から8時間でゴールできるということでした。

夕方6時に、この地方の電力本社前で抗議行動を行い、
その後、隣の市にある大きな神社までがコースとなってました。
参加者は150人くらいだったと思います。
様々な人が参加してました。フル装備のマラソンスタイルの人もいれば、
ハチマキをしめて大きなプラカードを持った人、
地元テレビの取材があるということでしたが、被り物をつけた人などもいたんです。
・・・抗議行動は20分ほどと短いものでした。
私たちの地域は、原発事故が起きた福島とはずっと離れているため、
反対運動に関心を持つ人は少ないんです。
むしろ、関連施設に就職しているとか、補助金の関係で、
運動に批判的な人のほうが多いかもしれないくらいなんです。

スタートは特に整列するわけでもなく、ピストルが撃たれるわけでもなく、
主催者の方が拡声器で合図して、参加者が三々五々、
歩道を同じ方向に歩き始めました。走って飛び出していった方もいましたよ。
私は彼とそろいのジョギングウエアを着て、
手をつないで、やや早歩きくらいのペースでした。
そうですね、人の列の中間よりやや前のほうといったところでしょうか。
走るつもりはありませんでした。なんといっても30kmですから。
足を痛めて、月曜からの仕事に差しさわりが出るんじゃないかと、
それはちょっと不安でしたね。
15分ほどで列は縦長にばらけて、特に交通規制をしているわけでもないので、
行儀よく歩道を進んでいきました。

1時間ほど歩いて、郊外の国道に出ました。
あと少しで、給水をかねた最初の休憩所があるはずでしたが、
まだ疲れは感じてませんでした。彼とは映画の話をしていたと思います。
その私たちの横を、なにか小さい大きな緑色のものが追い越していきました。
ああ、「小さい大きな」という言い方は変ですよね。
背が小さいんです。157cmの私より頭一つ小さかったので。
そのかわり、幅が普通の人の倍以上ありました。
でもすぐ、後姿を見て着ぐるみだとわかりました。
2頭身に近い体形で、体の色は白。
大きな頭には緑色のヘルメットを被ってました。
「P君だね」彼が言いましたが、私には何なのかわかりませんでした。

「あれは、20年くらい前に原発関連団体が広報製作用に製作した、
 ビデオに登場するキャラだよ。飲んでも安全だと言って、
 子どもにプルトニウム入りに水をごくごく飲ませたりする内容だったな」
「あ、そう言えば聞いたことがある。原発事故のときにネットで見たのかな。
 でも、プルトニウム入りの水を飲んで安全なわけがないじゃない」
「まあそうだけど、当時はそのくらいの勢いで安全神話を広めてたってことだね。
 でも、日本に原発を押し付けたアメリカからの抗議をくらって、
 すぐにお蔵入りになったはずだよ」
「当然よね。でも、どうしてそんなののコスプレして参加してるのかな」
「原発推進側への皮肉だろうけどね。・・・それより変だと思わないか」
「何が?」 「あの背の高さだよ。子どもってことはないよな。

 着ぐるみはけっこう重いし、子どもが夜中をかけて、
 30kmなんて歩くのは無理だから。小さな大人の人が入ってるんだろうね」
「そうなんでしょうね」P君の後姿に注目したんですが、
背中のあたり、白い厚い布でできてるんですが、
そこが広範囲に、ぼーっと緑色に点滅してたんです。
「なんだか気味の悪い色ね」
「中にLEDを入れてるんだと思うけど、あれじゃ目立たないよな。
 背も小さいし、どうせならヘルメットを光らせればいいのに」
P君はひょこひょこした動きながらも、なかなか速く、
一人、また一人と追い越して曲がり角に入っていきました。
4時間ほど歩いたところで、私たち、というより私がかなりまいってしまって、

2つ目の休憩所で休むことになりました。
国道沿いのドライブインの駐車場に設営したテントです。
寝転がったりできるよう下にはマットが敷かれてました。
そこで熱いコーヒーをいただき、
足にスプレーをかけて彼がマッサージしてくれました。
私たちがいるイスの横に、品のある老婦人とつれの人たちが来られて、
「ごくろうさま」と声をかけてきました。
見たことがある方でした。県会議員で、反原発の団体を主宰している方です。
私たちが恐縮してあいさつを返したとき、
テントの奥のほうがぼーっと緑色に光りました。
その中から、私たちより先にいっていたP君が現れたんです。

P君は女性議員の背後に回ると、全身が燃え立つように緑色に光ったんです。
そのとき、女性議員が手に取っていたコーヒーの白い紙コップが、
中のほうから、P君に同調するように緑色に光ったような気がしました。
P君は私と彼が見ているのに気がついたのか、
おどけたような仕草をし、着ぐるみとは思えないスピードで、
駐車場の奥の闇に駆け込んでいったんです。
そのときにはもう、体は光ってはいませんでした。
女性議員はコーヒーを飲み終わり、私たちに、
「ゴールまであと2時間かからないから、がんばって」
そう言って席を立っていかれました。
それをきっかけに、私たちも休憩所を後にして歩き始めたんです。

・・・ゴールに設定されている有名な神社の大鳥居が見えてきました。
私は体の疲れよりも、足の痛みのほうが大きかったので、
鳥居が目に入るとほっとした気持ちになりました。
ゴールに入っていく人はまばらでしたが、
全体では2時間休んだにもかかわらず、
私たちは早いほうだったと思います。
彼が、「あっあれ」と神社の杜の情報を指差しました。
すると空の高くに、ジグザグの軌道で白く光って飛んでいる物体がありました。
小さなものでしたが、絶対、星や衛星があんな動きをするがずがありません。
「UFO?」私がそう答えたとき、御神木の杜の中に、
飛行物体の動きに呼応するように動く、緑色のものが見えました。

P君の発光と同じ色でしたが、人間が、
まして着ぐるみを着てあんな動きができるはずはありません。
「あれはP君じゃないだろう。あの色のサーチライトか何かを、
 あちこち動かして照らしてるんじゃないかな」彼がそう言いました。
私たちは鳥居の中に入り、参加証明証とバッチをいただきました。
主催者の人に見たもののことを話そうかと思いましたが、
そのときには、木の中の緑の光も、UFOも見えなくなっていました。
これでお話は終わりです、なんですが・・・ あの神社の杜の、
御神木がたくさん枯れたんです。原因は不明です。
それと、さきほど話に出てこられた女性議員の方なんですが、
昨日の新聞で訃報を知ったんです。急性の白血病ということでした。









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