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○○自然の家

2015.05.21 (Thu)
じゃあ話をしますけど、ここ、本当に信用していいんですよね。
話した内容は絶対外部に出ませんよね。
というはね、ありていに申し上げると、わたしは実はあそこの職員なんです。
といっても嘱託ですけど。
だからね、ここで話したことが広がるとマズいんです。
あの、わたしがね、ここに来たのは何も謝礼が欲しいからってわけじゃないんです。
そこはわかってください。何であんな変なことが起きるのか知りたいんです。
で、もし原因があるのなら、それを取り除きたいと思ってるんです。
あそこは市の施設で、市立の小中学校は、
半強制的に利用させられてるわけじゃないですか。
何か大きな事故とかが起きてからじゃ遅いんですよ。

フィールドアスレチック

これから話すのは、全部わたし自身が目撃したものです。
最初は、あそこで働き始めて1ケ月目のことです。
ある小学校の5年生が一泊で来てて、
子どもらは東の広場のフィールドアスレチックで遊んでたんですよ。
木とタイヤとロープでできた遊具が10以上あるところで、
遊んでも面白いし、障害物競走にも利用できる。
しかも体力もつきますしね。
わたしは、事故がないように近くで見張ってました。
小さい子どもさんは、ロープがからまってしまうことがときおりあるんです。
でね、見ていたら一人の男の子が、「ヘビ」と呼ばれてる遊具に入ってったんです。
タイヤ15本くらいを並べて、ロープで中空に吊ってあるんです。

そのぐらぐら揺れる中をくぐっていくやつです。
でも、アスレチック遊具の中では、そんなに難易度は高くないんです。
見ていたら、その子は足場にのって上半身をタイヤにくぐらせ、
その格好で止まってしまったんです。揺れるのが怖くて動けないんだと思いました。
で、30秒以上その姿勢のままだったんで、助けに行こうかとしたとき、
もう一方のはしからひょっと男子の子が顔を出したんです。
「え!」と思いました。だってね、中にいるのはその子だけなんですから。
タイヤの列は4mほどの長さがあるんですよ。
顔を出した男の子もね、わたしと同じように「あれ?」という顔をして、
そのまま頭から下に落っこちていったんですが、
胴体がびょーんと長く伸びたように見えたんです。

で、男の子の頭が地面に着くあたりで、入り口のほうに見えていた
その子の足と腰が、すっとタイヤの中に飲み込まれた・・・
わたしは話が下手なんで、状況を想像できますかね。
男の子が落ちるとき、長く伸びていた胴体がしゅっと縮んだように見えたんです。
そうですね、蛇笛ってありますでしょう。
ピーと鳴らすと伸びるやつ。あれが縮んでいくときのような感じでした。
地面に横たわっている男の子の体は普通に戻ってたんです。
その子は医務室に運んでしばらくしたら目をさましました。
脳震盪が疑われるので、両親を呼んで病院に連れていってもらいましたが、
その子は、アスレチックのタイヤに入ったとたん、大蛇に飲み込まれたような
気がしたって言ってました。蛇みたく伸びてたのはその子のほうなんですけどねえ。

電撃柵

宿舎のほうと、野外炊飯場は電撃柵に囲まれてるんです。
これは熊用のもので、まだ大きな事故は起きていませんが、
その施設から続く山には熊は普通にいるんです。
私らが山に入って作業するときには、熊よけの鈴をつけますし、
宿舎の建物のすぐ近くで、熊が木につけた縄張りのしるしを見たこともあるんです。
それで、宿舎と炊飯場は食べ物をあつかうでしょう。
ですからね、臭いにつられてこないよう柵で囲ったわけです。
電撃は三千ボルトで、これで熊が死ぬということはありません。
やつらも学習しますしね。だんだん自分から近づかないようになりますから、
今ではね、バチッとなるのは年に数回のもんです。
で、その夜はわたしが宿直だったんです。

郊外にあるので、警備保障が来るまで時間がかかる。
それで宿直制度が残ってるんですが、翌日は休みです。
その日はどこの学校も来てなくて、飲酒等はもちろんできませんが、
気楽なもんでした。でね、夜10時の見回りのときでした。
懐中電灯をつけて宿舎の外を歩いていると、バチバチ音がしたんです。
そっちに回っていくと緑色の光が明滅してるのが見えたんで、
何か動物が柵にひかっかって動けなくなり、
電撃を浴び続けてるんだろうと思ったんです。
建物の東側でしたね。光ってる柵の正面にいくと、
外側で何が起きてるのかはっきり見えました。熊・・・でしたけど、
立ち上がって両腕で何かを抱えてたんです。

で、それを電撃柵に押しつけている。熊自身も感電してるんだろうけど、
その抱えてるものを通してだから、たいしたことはないんです。
最初、抱えているものは狸だと思いました。それくらいの大きさでしたから。
ところが、バチッと光るたびに、柵に押しつけられたそいつの顔が見えて・・・
体つきは猿に見えましたが、顔に木の面を被っていたんですよ。
つるつるした材質の無表情なお面です。面の目の穴から、
本来の猿の目がのぞいてて、それは白目になってました。
もう電撃で気絶してたんでしょう。熊のほうはわたしが来たのに気がついたようで、
その生き物を抱えたまま後じさりするようにし、生き物を口に咥え直して、
四つんばいに戻って駆け去っていきました。ねえ、変な話でしょう。
あの生き物が猿だとして、誰が何のために面をかぶせたんでしょうか?

玄関の絵

これが今回最後の話です。宿舎の正面昇降口には、ずっと靴棚が並んでいて、
その上に大きな絵が飾られてあるんです。
わたしは美術はあまり詳しくないんで、何号とかはわかりませんが、
2m×2mもあるようなものです。油絵でして、寄贈品なんです。
これを描いたのが、この○○の家の初代の所長さんです。
元は中学校の美術の先生で、校長で退職してからここの所長になったんです。
山が好きな人で、施設まわりをよく歩き回っていたそうですよ。
で、この絵の題材が、山の中にあるダム湖なんですが、
実際にスケッチしたものを元に油絵に仕上げたんです。
施設の東の方面、数km離れたところにあるダム湖ですね。
その下には、数十件の世帯でしたが、小集落が沈んでいるんです。

いえ、すべてダム造成のときに立ち退いていただいて、
たいそうなお金をもらっ街中に移ってったはずです。
その工事のときに死者が出たって話もありませんでした。
だからね、この絵が祟る理由なんて一つもないんです。
なのにねえ、これも年に数回のことなんですが、
朝になると絵の前のコンクリの床が濡れていることがあるんです。
そこは昇降口だし、生徒が来ているときには泥足で踏むところですから、
濡れても別にかまわないんですが、施設に宿泊者がないときでも
それが起きるんです。ねえ、考えられないですよね。
まさか絵の中のダム湖の水がこぼれてくるわけはなし。
ある晩、これも宿直のときでした。

照明をつけては消ししながら、宿舎内を回っていたんです。
でね、ここの昇降口は最後のほうになるんです。
異常なし、と思って照明を消そうとしたとき、ボコッボコッという、
泡が弾けるような音が聞こえたんです。壁の絵のほうからでした。
そっちに懐中電灯を向けると、絵の中央の表面が盛り上がってました。
あのほら、2つ目の話で出てきたお面ですよ。
あれが絵の中から浮き上がるようにして出てきていたんです。
同じものだと思いましたね。ただ、目の穴の中は空洞で黒々としていました。
そのときは動けなかったです。呆然と見ていると、面はあるとこまで出てきて止まり、
横長の口の穴から大量の水を吐いて、そして引っ込んでいったんです。
絵の表面は元のダム湖の油絵のままで、何の痕もなかったですよ。







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