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神道の神について

2015.05.28 (Thu)
自分の書いてる怪談には神社が出てくるものが多数あります。
主だったところをあげてみると、
面(おもて)神社  斑(はだら)神社  硫黄神社  氷継(ひつぎ)神社  
髪神社  廃神社
などですが、これはやっぱり神道の神が多様性を持っていて、
怪談に使いやすい気がするからです。
お寺さんだとなかなかそうもいきません。
仏教には開祖によるきちんとした法(のり)があり、
多くの僧侶らによる学問と修行の歴史があるからです。
それに対し、神社のほうはけっこう何でもありなんですよね。

日本神道の神々は「八百万の神」(やおよろずのかみ)
と言われているように、まず数が多い。
この八百万というのはもちろん実数ではなく、
ひじょうに多いという意味で使われています。
これらの神を分類してみると、さまざまな考え方があるでしょうが、
自分は大きく分けて四つととらえています。

まず、自然神です。天照大神は太陽神ですし、風の神、川の神などの他、
土地ごとの神様がいます。例えば○○渓流の□□滝の神とか、
△△沼の神とか。これらはおそらく最も古いもので、
数も一番多いのではないかと思われます。
日本は「言さやぐ国」と言われました。
あちこちで様々な神の声が聞こえる国ということです。
古代人の自然に対する畏敬や土地への愛着から生まれたものでしょう。

二つ目は氏族の神です。氏神ということですね。
これは日本書紀、古事記が8世紀に成立したおり、
そのときに有力であった豪族らの祖先神が、
優遇されて取り扱われていたりもしますが、
ほとんどの日本人は自分の氏神というものを持っているはずです。
この2つは重なっている場合もあります。
前述の天照大神は太陽神であるとともに、
天皇家の祖先神でもあるという具合です。

三つ目は渡来系の神です。日本文化は外来の事物を取り込んで、
日本人に合うように変質させていく、とはよく言われますが、
神々もまたしかりです。有名なところでは弁財(才)天などがそうでしょう。
俗に弁天様と言われてますが、
もともとはヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティーです。
芸術、学問などの知を司り、水に縁のある神様です。
大黒様(大黒天)は、ヒンドゥー教のシヴァ神の化身であるマハーカーラですが、
大国主命とくっついて習合してしまっています。

最後、四つ目は実在の人物が死後に神として祀られたもので、
有名どころでは菅原道真、徳川家康、明治天皇などです。
これはさらに御霊系と偉人系とに分けることもできます。

また別の観点から見れば、天つ(津)神、
国つ(津)神という分類もできますね。
基本的には、天つ神は高天原にいる、または高天原から天降った神の総称であり、
それに対して国つ神は地に現れた神々の総称とされています。
ただし高天原から追われた神は国つ神とされます。
姉の天照大神と争って追放された素戔男尊(すさのおのみこと)
は国つ神になるのです。

天つ神は天皇家や中央豪族に関わる祖先神、国つ神は地方豪族の神、
というふうに見ることもできるでしょう。
奈良時代に地方の文化風土や地勢等を国ごとに記録編纂し、
天皇に献上させた報告書である風土記には、
日本書紀には登場しない土地ごとの神々の名が出てきますし、
これらを御祭神とする地方の神社も多いのです。

さらに一柱(はしら)の神(神様は基本的に一柱、二柱と数えます)が、
たくさんの名前を持っている場合も多いです。
例えば大国主命には、大穴牟遅神(おおなむぢ)八千矛神(やちほこのかみ)
葦原醜男・葦原色許男神(あしはらしこを) 大物主神(おおものぬし)
大國魂大神(おほくにたま)杵築大神(きづきのおおかみ)などなど、
書ききれないほどたくさんの御名があります。

これは土地土地によって呼び名が違うということの他に、
「一霊四魂」(いちれいしこん)という考え方からきている面もあります。
神には和魂(にぎみたま)荒魂(あらみたま)
奇魂(くしみたま)幸魂(さきみたま)の四つの魂があり、
それら四魂を直霊(なおひ)という一つの霊が統合している
というものです。これは神だけではなく、人にもあると説明されることが多いです。
ただし、考え方としてはそう古いものではありません。
せいぜい中世あたりからでしょうか。

「荒魂」は神の荒々しい側面、荒ぶる魂であり、天変地異を引き起こし、
病を流行らせ、人の心を荒廃させて争いへ駆り立て、
祟りをなす神の働きであるとされます。
それに対し「和魂」は、雨や日光の恵みなど、
神の優しく平和的な側面であり、神の加護は和魂の表れとみなされます。
また、「幸魂」は運によって人々に幸せを与え、収穫をもたらし、
「奇魂」は奇跡によって幸を与えるといわれます。
上記した大国主命の和魂が大物主神で、奈良県の三輪山などで祀られていますね。

どうでしょうか。
実に多様な面が複雑に組み合わされて成立しているのが神道の神々なわけです。
出自も多様だし、一つの神が様々な性格を持ち合わせています。
ですから、話にも使いやすいんですね。

『大社縁結図』 出雲大社に集結する八百万の神






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