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妖怪談義11(ろくろ首)

2015.10.17 (Sat)
* 今回はひさびさの妖怪談義です。
えー題材として取り上げるのは「ろくろ首」で、
Wikiを参照しましたところ、非常によく書かれてあり、
自分がつけ加えることもあまりないようなんですが・・・
ろくろ首の「ろくろ」の由来は諸説あってはっきりしませんが、
井戸のろくろ、これは上から吊るした滑車のことで、桶に結んだ縄を、
滑車を通して上げ下げする様子が、首が伸びるさまに似ているということですね。

うーん、これで決まりじゃないかとも思われるでしょうが、
陶芸で使用するろくろ説も捨てがたいです。あれをくるくる回して、
出来あがった茶碗がにゅーっと上に伸びていき、最後に糸でブツンと切る。
あの一連の工程が首が伸びる感触を思わせるというもので、
こっちもそれなりに説得力がある気がします。

ろくろ首と言われるものは、大別すると2種類ありまして、
一つは首が体から抜け落ちて、空を飛んで自由に行動できるタイプ。
これは「抜け首」とも「飛頭蛮(ひとうばん)」とも言います。
飛頭蛮は中国の呼び名で、東晋の時代(3、4世紀)の小説中に登場しますので、
かなり古いものです。おそらく、日本のこれ系のろくろ首は、
この中国の話が元になっているのではないかと思われます。
首の切り口は、そのまま何もない場合もあれば、
尾を引いていたり、火が出てたりするようですね。
ただこの場合、戻っていく本体(胴体)の存在がわからなければ、
いわゆる生首の幽霊、妖怪との区別がつけにくいですよね。

もう一方のタイプは、こちらのほうがマンガや映画でポピュラーでしょう。
首がにゅーっと長く伸びて胴体とつながっているもので、
ただし、江戸の戯作者連の解説によれば、
この首に見える部分は霊的な糸とされるようです。
まあ、解剖学的には人体の頚椎や筋肉組織がそのように伸びるわけはないので。
昔は、見世物小屋でこのろくろ首の出し物がよく掛けられていたそうで、
仕組みはなんとなく想像できそうです。

下図は鳥山石燕の『画図百鬼夜行』からですが、まわりの小道具が少ないため、
推測の手がかりがあまりないのですが、この絵では身分の高い女性のように見えますね。
あと、肩の中間で首が急激に細くなっており、ロウソクの芯のようでもあります。
霊的な糸というのはそうなのかもしれません。
江戸時代には戯作者による妖怪ブームがあり、
このときに考えだされたものも実は多いのですが、
このろくろ首もビジュアル的には絵心をそそりますので、
そうしたものの一種かもしれないですね。



さて、「霊的な糸」ということをキーワードに2つほど考えてみます。
まず最初はエクトプラズム説です。
エクトプラズムとは、シャルル・ロベール・リシェ(1913年ノーベル賞を受賞)
という、心霊主義では有名なフランスの生理学者の造語で、
「霊能者などが霊の姿を物質化、視覚化させたりする際に関与するとされる半物質、
または、ある種のエネルギー状態のもの」と定義されています。

ただ、心霊主義時代の霊媒でこのエクトプラズムを出すことができた人は多いのですが、
最近はほとんど話を聞かなくなってしまいました。
現代的な検証には耐えにくいのかもしれません。
分析にかけられたことありまして、その結果「唾液や爪や髪の毛に似た成分」
が検出された、という話もあります。

エクトプラズムの場合、それを出している霊媒本人のエネルギー?体なのですが、
近くにいる霊がそれを利用して自分の姿を見せたり、
昔の霊がそこに降りてきている場合もあるようです。
つまりエクトプラズムが顔状になったとしても、
それを出している本人とは別人であったりするのです。
顔のあるエクトプラズム画像をいくつか載せますが、ちょっと笑えます。
じつは、こういう画像の中には、エクトプラズム内の顔が、
雑誌に掲載された写真とそっくりであると判明している例もあります。
全体としては、残念ながらろくろ首には見えないですよね。



さてさて、もう一つの解釈としてあげられるのが「体外離脱」です。
つまりもう一人の自分が体外に抜け出して、寝床に寝ている自分の体を見た場合、
首が伸びているように体験者が錯覚するかもしれないという説ですね。
前にも紹介しましたが、脳神経学社のV・S・ラマチャンドランは、
体外離脱体験の原因として、側頭葉の上端付近に位置する回角という部分が、
それを引き起こす可能性を示しています。  関連記事 『自分の影におびえる』
この場合、本人は首が伸びてるかもと錯覚したとしても、
他の者がそれを目撃することはできないので、本人が「こういう体験をした」
と言わなければ誰にもわかりません。
うーん、これもろくろ首に結びつけるのはけっこう難しいですね。

ただ、江戸時代の随筆随筆『耳嚢』では、
「ろくろ首の噂のたてられている女性が結婚したが、結局は噂は噂に過ぎず、
後に仲睦まじい夫婦生活を送った」という話があり、これなどは、
本人が幼少時に幽体離脱体験をして、それを誰かに語ったため、
そういう噂がたってしまった、と推測できないこともないですかね。





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