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空間 3題

2015.10.22 (Thu)


これはタコ焼き屋台をやっているNさんから聞いた話です。この経験をしたのは、
もう20年以上前のことで、当時は左官業の見習いをしていたということでした。
6月の中旬に、仕事仲間と日帰りで海に行ったそうです。
最高気温はすでに25°を越えていましたが、その日は曇空で、
まだ近くの海岸では海開きは行われておらず、車から見る海岸線はガラガラでした。
ここらでいいだろうと、適当なところで防砂の松林の中に車を停め、
砂浜に出ると人っ子ひとりいない状態で、「貸し切りだー」と叫んで、
皆でシャツを脱いで海に飛び込みましたが、
やはりというか水温は冷たかったそうです。

それでも皆、意地を張ってしばらく泳いでいると、
空は雲が晴れて、だんだん海遊びらしい雰囲気になってきました。
一同は砂浜に上り。持ってきたビールを飲んだりしていましたが、
Nさんの先輩であったAさんが、砂の上に寝転んで、
「俺を埋めてくれ」と言い出しました。ま、海水浴場ではよく見かける光景なんですが、
仰向けに寝たAさんの体にどんどん砂をかけていくと、
上部は乾いた黄色っぽいサラサラの砂だったのですが、
だんだんに下から黒土のようなのが出てきました。それもすくってかけていると、
砂の中のAさんの腰が、急にガクッと沈んだんですね。

ちょうど浴槽の縁に頭と足をのっけて、体の中間が沈んだ状態のようにです。
「A、お前、下を手で掘ってるのか?」別の先輩がこう話しかけたら、
Aさんは「いや、いや、なんか引っ張られてる」とあせった声で言い、
だんだんに頭と足が接近していったそうです。ギャグで、
ドラム缶にお尻が落ち込んだような体勢になっていったということですね。
「痛い、痛い、砂どけてくれ、起こしてくれ」Aさんが叫んだとき、
松林のほうから「おい、お前ら何やってる!」という怒声が聞こえました。
ハチマキを巻いた漁師らしき人が2人、Nさんらのほうに駆けてきながら、
怒鳴っていたんです。とにかくAさんの体にかかった砂を払い、
両手、両足を持って引き上げましたら、Aさんの腰の下が深い黒い穴になっていて、
しかも何か褐色のものが大量に敷き詰められているように見えました。

でも、それは一瞬のことで、まわりの乾いた砂がどんどん中に落ちていき、
すぐに穴は埋まってしまったんです。漁師たちはNさんらのすぐそばまで来て、
「ここ、入っちゃなんねえとこだから」 「地元でも入るやつはいねえ」
すごい剣幕で怒ったので、Nさんらはとりあえず謝り、車に戻ったそうです。
Nさんは、「ちらっと見ただけだけど、
 穴の中にあったのって字みたいなのが書かれてたんだよね。それもお経みたいな。
 あれお寺さんにある卒塔婆だったんじゃないかな。それにしてもあれ、もしかして、
 あの浜の下にずっとあったのか。だとしたら気味悪いやね」こう言ってました。
その後はとくに、Nさんのグループに障りのようなことはなかったそうです。

トンネル

これは東北の某県から大阪に出てきて、商社で働いているGさんの話です。
Gさんの郷里の市には、市の中央部を鉄道線路の下をくぐって走る、
地下トンネルがあったそうです。全長は20kmにもおよぶ長いもので、
地上の交通渋滞緩和のために作られたのですが、
工事のせいで地盤沈下があって建物が壊れたり、完成までには一騒動あったそうです。
このトンネルは片側一車線で、車以外は入れません。
ただし両脇には、保守点検のための幅1.5m程度の通路があったんです。
「そこをね、落武者が走るって噂が広まってたんですよ。
 たしかにトンネルは地元の城址跡の近くを通ってますが、
 そこは各時代を通して一度も戦争もなかった、ちっぽけな砦のような城で」

Gさんは当時そちらで飲食店に勤めていて、毎日通勤でそのトンネルを通っていました。
「落武者の話はね、たぶんだけど、通路にある電気関係のボックス、
 それに車のヘッドライトが当たった影がずっと伸びるのが、
 鎧武者が走るように見えたんじゃないかと思いますけどね」こう話してくれまして、
「でも、1回だけおかしなことがあったんです。トンネルの内部に何ヶ所か、
 地上に出られる分岐がありまして、そのあたりで少し車の間隔が詰まるんです。
 その日はね、仕事の帰りだったから10時ころかな。少し渋滞しまして、
 何気なく通路のほうを見てたら、人が歩いてたんです。作業服を着てましたので、
 ま、点検関係の人なら珍しくはないです。

 その人が、自分の車の2台前あたりで立ち止まって、トンネルの壁のほうを向きました。
 するとね、上のほうでパッと緑のランプがつき、その人の全身が照らされまして、
 それもおかしなことではないと思ったんですが、
 作業服の人はそこでドアノブをつかむような仕草をし、
 壁がパカンと開いて中に入っていったんです。でも、車が動き出してそこの壁を見ても、
 ドアの枠?やドアノブなんて何もありませんでした。それ以来、気になったので、
 できるかぎり通ったときに、その場所を見るようにしてたんですが、
 やっぱりドアなんてないんです。あと、上の方に照明もないように思えました。
 これ場所を間違えてるってことは絶対ないです」こんな話でしたね。

ビルの隙間

これはRさんという自分の仕事の先輩、つまり、占星術ではないんですが、
占い師をしている方から聞いた話です。ただし、この先輩はとても、
冗談というか法螺話が好きな人なので、これはつくり話かもしれません。
ある夜、居酒屋で占い師仲間と飲んでいましたら、Rさんが、
「あのなあ、お前幽霊とかそういう関係の話を集めてるそうだが、
 そういうお化けとかは、隙間に出るって知ってるか?」こう話題を振られました。
「ああ、はい。そういう説はあります。家具と家具の隙間、
 例えばタンスとラックの間なんかには霊界への通り道ができたりするとか」
「ああ、やっぱりそうか。じゃあそれが大きくなった建物の間とかは?」

「その話もありますよ。よくはわかりませんが、遠近法が関係してるとかで、
 隙間の幅と、建物の高さ、通路の長さによって、やっぱ異界に通じちゃったりするって」
「そうか、そうか。実はこの前、朝方に酔っ払って〇〇街を歩いてたんだよ」
「あのあたりなら、けっこう遅くまでやってるでしょ」
「うんでも、さすがに4時ころになると人通りが途絶える。でな、□□第2ビル知ってるか」
「わかりますよ」  「あの右隣のビルとの間にせまい隙間があるだろ。人も通れない」
「そこまでは覚えてないです」  「あの横を通ったら、隙間に白い煙が充満してたんだよ」
「それ、換気扇の排気とかじゃ」
「俺もそう思ったけど、白く煙ってるのは人の背丈くらいまでなんだ」
「うーん、じゃあ空気より重い気体」

「その濁った上に人の手が出たんだよ、手首より先」  「はい」
「その指先が下を向いて、白い部分をぺりぺり剥がすようにして下までいったんだ。
 そうだなあ、古い本の背表紙だけ剥がすような感じ」  「・・・・」
「でな、人が2人出てきたんだが、どっちもあの黒いベールみたいなのを着たイラン人の女」
「イラン人てわかるんですか?」 「いやまあ、イスラム圏の女性だよ。
 それで、俺のほうには目を向けようともせず、並んで歩き去っていった」
「本当ですか?」 「俺が嘘を言うかよ」ま、こんな話でした。
そこは自分もよく通る話場所なので、□□第2ビルと隣の間の隙間を測ってみましたが、
幅は12cmほどで、建築法違反かもしれません。下は汚い砂利でしたね。

はかいあおあまお




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