サン・ジェルマンの憂鬱1

2015.10.23 (Fri)
* 今日は怖い話ではありません。
サン・ジェルマン伯爵は、18世紀のヨーロッパ社交界において活動したと伝えられる
実在の人物で「ヨーロッパ史上最大の謎の人」などと評されています。
ただし、そのプロフィールまでが真実であったとは考えられません。
彼がオカルト界で語られる場合、主題は「不死」についてのものがほとんどです。

ヨーロッパ社交界に忽然と現れた当時において、
すでに2000年~4000年生きてきたと言われています。
哲学者ヴォルテールはサン・ジェルマンについて、
「決して死ぬことがなく、すべてを知っている人物」であると書き、
プロイセン王、フリードリヒ2世も彼を「死ぬことのできない人間」と記しています。
彼は「自分は普通の食物は必要ない」と公言し、
人前では霊薬以外は何も口にしなかったという話があります。

しかし「不死」というのが実際にあったとは思えないですよね。
現代では、彼は当時のヨーロッパに多くいたアバンチェリエの一人と考えられています。
これは「山師」と訳されますが、身分制度の強固であったヨーロッパ社会で、
庶民が錬金術、疑似科学、擬似医療などを用いて、
社交界に取り入ってのしあがろうとした人々と解釈されています。
サン・ジェルマンの場合、表芸は錬金術でしたが、自分の周囲に不死の噂をまとわせ、
上流社会の人々の関心を買おうとしたと考えられます。

さて、今日の話は彼が主題であるというよりも、その「不死」性についてのことです。
「死なない人間」というものは今後存在することができるのでしょうか。
一般的には「不死」は「不老」とセットになって語られることが多いのですが、
それを加味すると話が複雑になりすぎますので今回は除きます。
ただし、どうしても含まれてしまう部分もあるでしょう。
あと、この話は非常に奥深いですので、項を変えて書き継いでいくことになると思います。
世界では、様々なアプローチのしかたで、不死(アンチエイジング)
について研究されていますが、大きく分けると3つくらいになるでしょうか。

①テロメアに対するアプローチ
テロメアという言葉は耳にされたことがあると思います。
生物の染色体DNAの末端にある特殊な領域(下図参照)のことです。
テロメアがあるおかげで、DNAが末端から壊れたり、DNA同士がくっついたりできません。
うーん、ジッパーの端っこの留め金のようなものとでも例えればいいでしょうか。
正常に細胞分裂をするためには必要不可欠であり、これがないと、
人は細胞分裂をすることができなくなり、すぐに寿命が尽きてしまうわけです。

こう書くと、すごくいいもののように思われるでしょうが、
残念ながら、テロメアは細胞分裂のたびに短くなってしまいます。
ワープロ文書を何回もコピーし続けていると、
だんだんに文字が劣化して読めなくなるのとも似ているかもしれません。
医学的には人間の寿命は120歳前後という話がありますが、これは、
テロメアの働きによる人間の各部の細胞の分裂回数(だいたい50回程度)
をもとにして算出されたものです。

つまり、テロメアを伸ばすことができれば不死につながっていく可能性があるんですね。
テロメアを伸ばすにはテロメラーゼという酵素が必要ですが、
普通の細胞にはありません。これを持つのは精子や卵子などの生殖細胞、
それと癌細胞です。癌細胞は基本的に自然に死滅することはありません。
このテロメラーゼを使って細胞分裂の規定回数のカウントを引き伸ばしているのです。
ですから、手術して切り取るなどの治療が必要です。

あと、バクテリア(真正細菌)はご存知でしょう。大腸菌などが有名ですね。
彼らは基本的に不死というか、無限に細胞分裂することができます。
これは彼らのDNA構造が輪っかになっていて、端っこであるテロメアを持たないためです。
ちなみに、これらバクテリアと同様に、DNAが輪っか構造になって産まれた人間が、
歴史上5人はいるというオカルト話もあります。
もしかしたらそのうちの一人が、サン・ジェルマンなのかもしれません ww
あれ、何だかテロメアというのは、よくないもののようにも思えてえきました。
しかし、永遠の生というものが本当に素晴らしいものかどうかには疑問
(後述します)があります。人間の場合は自然の摂理により、
あえて制限が設けられていると見ることもできそうです。

②その他の先端医療、分子生物学的アプローチ
ここでは3つに小分けしてご紹介します。
・無数の超小型ナノロボットを各種医療行為ごとに開発します。
人間はこれが入った錠剤を飲み、人体の各地に行きわたったナノロボットが、
機能の損傷や病気の兆候をいち早く発見して補修してくれるという方法です。

・iPS細胞。山中伸弥率いる京都大学の研究グループによって初めて作られ、
ノーベル賞を受賞しています。まだまだ課題はあるものの、自己複製能を持っており、
多くの人体部分をつくることができるため、体の傷んだ部分を随時これで補っていく。
脳にも応用することができれば、これは不死につながります。

・クローン。ある人が死にそうになった場合、
体細胞の一部からクローンをつくり出し、急速成長させます。
そして脳だけをそこに移植する。これだと完全な不死ではないでしょうが、
ある程度寿命を伸ばすことは可能でしょう。ちなみにクローン羊ドリーは有名ですが、
ドリーの染色体DNAは、上記したテロメアが短くなっていたとされます。
正規の方法以外でつくられたものには、予期しない障害が出るのでしょうか?

・・・予想はしていたものの、ここまですでにずいぶん長くなってしまいました。
個人的に現在、テロメアに興味を持っていましたので。
これは項目を分けさせていただきます。
オカルトブログですので、次回はオカルトの話に戻ります。(続く)

関連記事 『サン・ジェルマンの憂鬱2』

テロメア・・・クリップのようです





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コメント
人間の寿命をどれだけ伸ばせるかですが、結局のところ、スウィフトが「ガリヴァー旅行記」で語ったように、「ストラルドブラグ」になってしまうんではないかと。

それは脳細胞のキャパシティがどうこういうより、人間の「思考」というやつが内部から自壊していくんじゃないかと。

そんなことを考えてます。
ポール・ブリッツ | 2015.11.02 22:57 | 編集
コメントありがとうございます
たしかにそういう気がしますね
ラファティの「九百人のお祖母さん」みたいな形なら
いいんですが
bigbossman | 2015.11.03 02:52 | 編集
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