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地図の話

2015.11.01 (Sun)
オカルトが好きでして。ああ、俺じゃなく、友人のことです。
Mってことで話を進めさせてもらいます。中学のときですね。
俺もMも、イラスト部というのに入ってたんですよ。
うーんまあ、スポーツ苦手ってのもあったんですが、うちの学校は私立で、
文化部が多かったんです。これはグランドも体育館もせまかったからですね。
で、このイラスト部ってのがなんとも中途半端でね。
美術部は別にあって、そこは基本的に油絵をやるんです。あと彫刻やるやつとか。
それに対してイラスト部のほうは、要はマンガを描くんです。
女子が多かったし、同人誌とか作ってるやつらもいました。
そんな中で、俺とMは浮いてたっていうか、2人ともマンガ描けなかったんです。
じゃあ何で入ったかっていうと、受験対策で内申書の部活動の欄を空欄にしたくないのと、

あと、あんまり早く帰ると家で時間を持てあましますから。
イラスト部は顧問が年寄りの女の先生で、最後しか部に顔を出さなかったんです。
活動も週に3回くらいで、時間は1時間程度。だからちょうどよかったですね。
だべったり、雑誌読んだりしてれば終わるんです。
ええ、イラストの参考にするってことで、部の時間だけマンガ見てもよかったから。
Mとは1年、2年とも同じクラスじゃなかったけど、部のほうですごく親しくなりました。
でねえ、こいつがものすごいオカルトフアンだったんです。
あの「ムー」っていう雑誌わかりますか。学研で出してるやつ。
あれの最新号をいつもカバンに入れてて、俺に内容をあれこれ話して聞かせるんです。
あ、俺自身はあんまり興味なかったですけど、Mのおかげでだいぶ詳しくなりましたよ。
でもねえ、世の中に不思議なことなんてないと思ってました。

だってテレビでやるUFOとか心霊写真の番組って、あれ笑うやつじゃないですか。
どれもこれも全部つくりだと思ってました。
世の中には物好きなやつがいて、灰皿投げて写真に撮ったりしてるんだろ、って。
でね、このMが、部活のときに市の地図を広げたんですよ。
A4の大きさにコピーしたやつでしたけど。でね、それどうするんだって聞いたら、
市の心霊地図を作るってww せっかく週に3時間あるんだから、
何か形になるものを残したんだ、ってねえ・・・
俺もね、内心では面白そうだなと思ったんですよ。それで協力することにしたんですが、
これがなかなか地道な作業で、たいへんでした。
当時、ネットは始まったばかりで、今の「大島てる」ご存知ですよね。
事故物件サイト、ああいうのはもちろんなかったですから。
大島てる 事故物件公示サイト

じゃあどうやったかっていうと、図書館にあった地方新聞の縮刷版、
その記事をたんねんに拾って、死亡事故、死者が出た火事、
殺人事件があった場所を地図に書き込んでいくんです。
ほんとうは自殺も調べたかったみたいですが、それは新聞には載りませんしね。
大きな市でしたから、殺人は年に数件でしたけど、死亡事故はたくさんありましたよ。
あまり多くてきりがないので、過去3年分にしぼりましたが、
2ヶ月くらいで地図にはかなりの数の印がつきました。
え? それで何かわかったかって? いやあさっぱり。
だって事故が多いのは、交通量が多くて見通しが悪かったり、
じゃなきゃスピードを出しやすい場所だったり、必ずそういう理由があるところでしょ。
あと、火事は放火でもなければ場所はランダムだし、分析するような結果はなかったです。

俺もMにそう言ったんですよ。「こんな統計は警察にあるんじゃないか」って。
そしたら次にMが始めたのが、同じ大きさの地図に、
今度は市の心霊スポットを書き込んでいく作業。
心霊スポットって新聞に出てるわけじゃないでしょう。
だから知り合いとかに取材しなくちゃなんなかったです。あとは、市史を見て、
その昔にあった不思議な事件があれば、それも書き込んでいきました。
親や親戚、先生、学校の先輩その他、いろんな人に「この市で怖いとこありますか」
なんて聞いて回ってたんで、今思うと変なガキだったでしょうねえ。
え? 集まったかって? それがけっこうあったんですよ。
例えば、南の郊外にある団地ですけど、防護ネットが設置されるまで、
飛び降りの自殺者が多かったんです。

そこでね、中の非常階段の手すりを横座りして滑っていく女の幽霊がいるって話を聞きました。
それから、川のそばに点々とある三日月湖、フナ釣りに行く人から聞いたんですけど、
そういう池の一つで、絶対に釣り人が近づかないとこがあるとか。
これは、夕方になると沼の水面に白い影のような人が浮かぶんだそうです。
それからあとは、街の中にちょっとした山があるんですけど、
そこは1番2番とか番号の立て札がついた地蔵様がいくつもあって、
順番に回れるようになってたんですが、44番は首なし地蔵で、
夜になると自分の首を探して、地蔵様が歩いてるなんて話も。
あとは廃墟ですね。経営者が自殺してつぶれた国道ぞいのドライブイン、
ホームレスの変死体が見つかった入居者のいないアパートとか。
こういうのって、どこの街にもありますよね。

で、じゃあ実際に死んだ人がいるかっていうとそれはわからない。
そうですね、歴史関係では、江戸時代の飢饉のときに、
一揆の首謀者だった農民が首を斬られた塚なんてのもありました。
事件があってしばらくは、塚の上を火の玉が飛んでいたという記事が市史に載ってましたね。
ま、そんな感じで、こればっかりやってたわけじゃないんですけど、
けっこう集まってきました。で、Mが地図に書き込んでいく。
でね、最初は喜々としてやってたMなんですが、
溜まるにつれてなんとなく不機嫌になってきましてね。「嘘が混じってる」って言うんです。
ええ、心霊スポットの逸話に真実ではないものがあるってことですね。
それを聞いたときはちょっと呆れました。「何言ってんだ、全部嘘だろ」
よっぽどそう言ってやりたかったですけど、そうすると友達関係が壊れると思って。

3ヶ月目に入って、そういう怖い話も底をついた感じになりまして、
そしたらMが「いいこと思いついた。心霊事件があった場所を薄い紙に写して、
 前の事件事故のやつと重ねてみる」って。
でね、俺も協力してやってみたんですけど、はかばかしい結果は得られなかったんです。
それはそうですよね。たしかに心霊スポットはうす寂しい場所が多いんだけど、
行く人が少ないから交通事故も起きてないんですよ。犯罪にしても、
恨みつらみがほとんどだから、被害者や加害者の住んでる場所の近くで起きるわけです。
相関なんて見られない。俺はあたり前だと思いましたけど、Mのやつは、
「これは心霊事件の中にやっぱ捏造が混じってるからだろうなあ」こう残念そうに言ってました。
でね、Mはその地図2枚を家の持って帰ったんですが、2日後の部活の最初に、
「心霊事件が嘘か本当か見分ける方法を考えついたんだ」って言い出しまして。

「えー、どんな?」 「降霊して、その場所の幽霊を呼び出してみるんだよ」
「?! お前そんなことできるのか」 「これだよ」
そう言ってMが取り出したのが、こっくりさんの紙だったんです。
学校ではまったく流行ってなかったんですが、何かはわかりましたよ。
さすがにねえ、このときは絶句しました。「お前やってみたんか?」
「一人だと難しかったけど、なんとなく本物と偽物はわかった気がする」
でね、2人で地図とこっくりさんの紙を持って空いてる教室に行ったんです。
さすがに部活の場所でやるのはマズかったですから。2枚の地図を重ねて、
さらに嘘か本当か確認したい心霊スポットの上に鳥居マークを合わせる。
Mが十円玉を出して、「いいか、今から一ヶ所やってみせるから」
・・・そのときはですね、俺の記憶がたしかなら、ある児童公園でした。

そこで殺された男の子がいて、夜中に誰も乗ってないブランコが揺れるっていう、
ごくごくありがちな話で。でね、その公園の場所に鳥居を合わせ、
十円玉を置いたMが「こっくりさん、こっくりさん、ここで死んだ男の子を・・・」
こう言ったときです。二枚重ねの地図とこっくりさんの紙、
その表面から青白く細い子どもの手が出てきたんです。俺は思わず何歩か後じさりしましたが、
そこで動けなくなって。Mはその手を離させようと、何度も腕を強く振りましたが、
紙から火が出たんです。青いガスの炎みたいな。「あつっ、あちちちちち」
俺はMに抱きついてそのまま後ろに倒れました。立ち上がると火は消えていまして、
Mは火傷はしてませんでした。散らばった焦げカスを2人で片付け、学校にはバレなかったです。
これで終わりですよ。Mはもうやろうとしませんでしたから。
心霊関係はいっさいやめ、2人でドヘタなマンガを描いてましたよ。






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