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Another destination

2015.12.17 (Thu)
じゃあよろしくお願いします。話は去年の忘年会のときまでさかのぼるので、
だいたい1年前のことなんですけど、これを今、家族や会社で言うと、
頭がオカシイんじゃないかって思われるんです。
いやね、自分でも半信半疑というか、かなりあやふやになってきました。
ずっと長い夢を見てたんじゃないか、って。
でもね、不安があるんです。ものすごい不安。もうすぐね、
今年の忘年会がありますんで、どうしたらいいかここのみなさんにご相談したいんです。
ええ、休もうかとも考えているんですよ。
まあね、会社人間ですから忘年会は出ないわけにはいかないんですけど、
急病か何かの理由をつけて。いや、命があぶないんじゃないかって気がするんですよ。
まあこんな話です。聞いてやってください。

去年の、2014年、平成26年の忘年会のことです。
一次会はホテルの大会場で、それから2次会はクラブ、あとは三々五々分かれて、
カラオケに行ったり、ラーメン食べたり、飲み足りない人はバーに行ったり・・・
でね、わたしはその飲み足りない口で、同僚のEさんと2人で、
有名なホテルのバーに行ったんです。酔うほどに、
ウイスキーとかの強いのが飲みたくなるんです。もう終電の時間はとっくに過ぎてましたが、
ボーナス出たばかりでしたし、タクシーで帰宅するつもりで。
そうですね、店を出たのは1時半過ぎだったと思います。
でね、Eさんとは帰る方向がだいたい同じなのでタクシー相乗りしようと。
そうすりゃ遠距離でも料金も折半でで済むでしょ。
街には、まだたくさん人が出ていまして、ブラブラ歩いてるとタクシーはすぐつかまりました。

でね、Eさんが先に乗り込んで、さて自分がというときに、
急に閃光が何度もひらめいたんです。いや、そのときは
街全体が稲光のように光ったと思いましたが、まわりを見ると誰も驚いた様子をしてなかった。
だから、わたし一人だけに見えたのかもしれません。
その光と同時に、「このタクシーに乗っちゃいけない」って気がしたんです。
とにかく絶対にダメだ、って。理由はわかりませんよ。
とにかくその瞬間にそういう気持ちになっちゃったんです。
で、Eさんには申しわけなかったけど、「ちょっと買っていくものがあるのを思い出したから」
って言って乗らなかったんです。それから道の隅にいってタバコを一服し、
別のタクシーに乗ったんです。そのときは特別おかしな感じはなかったですねえ。
無事に家に帰り着いたら、家族はみんな寝てました。

翌日が休みでしたので、わたしも風呂に入らずすぐ寝たんです。
次の日の朝、「あなた、たいへん!」って、妻に叩き起こされました。
何事かと思ったら、昨夜、タクシーの事故があってEさん急死したってニュースを、
たった今テレビでやったって言うんです。
会社の上司に連絡を入れたら奥様が出て、不幸なことに間違いなかったんです。
タクシーの前を過積載のトラックが走っていて、しかも荷がきちんと固定されてなかった。
それが転がってきて、乗り上げたタクシーは横転、
運転手は重症ということでしたが、Eさんは半分窓から飛び出して車と道路の間にはさまれ、
即死だったんです・・・というか、そういう記憶があります。
上司と相談して、翌日に家を訪ねました。Eさんはわたしと同期入社、同年齢、
結婚した年も同じで、やはり小さな子どもが2人いたんですよ。

ですから奥さんの嘆きはそれはたいへんなもので・・・
ええ、葬儀までの間、できることは何かと手伝わせていただいた・・・はずなんですが・・・
もちろん、もしわたしがいっしょにそのタクシーに乗ってたらどうなっていただろう、
とは考えましたよ。あの、乗り込む間際にピカピカ光ったのは、
もしかして神様がわたしを助けてくれたんじゃないのかとまでねえ。
だってそれ以外説明つかないとそのときは思ったんです。
車の惨状も地方新聞に出ていまして、あれに同乗していれば、よくいって重傷でしたでしょう。
それはショックでしたよ。人の運命ってわからないもんだなあと思いました。
ちょっとした偶然による行き違いで、死ぬことも生き延びることもある・・・
でね、このことがあってから1ヶ月後くらいから、夢を見るようになったんです。
暗い部屋にわたしが一人で座ってる夢です。

手元のとこだけスポットがあたったように明るくて、そうですね、
ビリヤードの球くらいの大きさのボールが4個転がってました。
色がそれぞれ違っていて、うす赤いのと、空色のとオレンジのボール、
それともう一つ真っ黒いボールです。手にとってみましたら、うす赤のボールを持つと、
頭のなかに妻の顔が浮かんできたんです。空色とオレンジのボールはやや小さくて、
それぞれ握るとわたしの息子と娘の顔が見えました。
あと、黒いボールなんですが、これは握ったとたん、
あの忘年会の夜にタクシーに乗ろうとしたときに見えた閃光がバチバチと頭の中で光りまして。
イヤーな感触だったんです。でね、しばらくそうしていると声が聞こえました。
うーん、年配の男の人の声じゃないかと思います。
「選べ、その中からひとつ選べ。ただし慎重に。時間はまだまだある」

そういう意味のことですよ。でね、それで目が覚めたんです。
それからは同じ夢を何度も見ました。だいたい月に2回くらいですね。
夢のなかではわたしはまだボールを選んではいません。ただ、これはすごく大事なことだから、
選ぶときはかなり覚悟を決めなくちゃならない、そういう気が強くしたんです。
家族や上司には相談しませんでした。心配をかけますから。
そのかわり、会社のカウンセラーさんのところには相談にいきましたよ。
やはり友人を亡くしたショックのせいだろうと言われました。
PTSDってことでしょうね。もし、夢を見る頻度があがるようなら、
心療内科に紹介状を書きますって話をされて。
でもね、そのときからしばらく夢は見なくなったんです。
ああこれは、少しずつショックが薄れてきているのかも、とも考えましたが・・・

でね、次に夢を見たのが先月です。11月の終わり。
やはりわたしは4個のボールを前にして座っていまして。声が聞こえてきたんですが、
前とは内容が違っていました。「いよいよ期限だな。さあ1つ選べ。
 慎重に、断固として選びなさい」こんな感じでしたが、逆らえない調子だったんです。
それで・・・妻のボール、息子と娘のボール、黒いボール、
何度も握っては離しをくり返し、声にせかされるままに黒いボールを選んしまったんです。
「これにします」と言ってつかんだ手を前に出したとき、
目が覚めまして、朝になっていたんです。
それで、その日どんなことが起きたかわかりますか。
いつもどおりに出勤すると、なんとです、Eさんが出勤してきたんですよ。
いや、その姿を見たときには失神しそうになりました。

いやいやいや、幽霊じゃないんです。ちゃんと生きた人だったんです。
まわりもね、Eさんがいることが平常通りというか、
だれ一人驚いてる様子もなかったんですよ。それでわたしは混乱して、
その日は休みをもらって帰っちゃったんです。でね、家に戻ったら妻がいましたので、
Eさんの事故や葬儀のときの話をしたんです。そしたら、「あなた何言ってるの」という反応で。
ええ、あの事故はなかったっことになってたんですよ。
それどころか「先月Eさんといっしょに泊まりがけで釣りに行ったじゃない」
そんなことまで言われて。いや、わたしにはまったく記憶はありません。
翌日は会社でEさんとも話をしました。釣りのことも出たんですが、
わたしはしどろもどろで、ずいぶん変に思われたでしょう。
・・・これが、もしかして夢の中で黒のボールを選んだ結果なのか、とは当然考えますよね。

Eさんが生き返ったというか、事故そのものがなかったことになってるんだから、
これが最良の選択だったかと考えると、どうもねえ、
わたしの未来に暗雲が垂れ込めているような気分になるんです。
ねえ、どう思われますか? これでよかったんでしょうか?
今のところはいいんですけど、もうすぐ去年の忘年会からまる1年です。
何かがあるような気がしてならないんですよ。あの、映画の「ファイナル・デスティネーション」
というのをご存知ですか。主人公が飛行機事故を予知して直前で降りたために、
運命の手によっていっしょに降りた仲間が一人ずつ殺されていくって話。
デスティネーションというのは行き先って意味みたいです。
わたしはいったいこれからどこに行き着くんでしょう。
とにかく、今年の忘年会には出ないほうがいいですよね。そう思いませんか?






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コメント
 このタイトルは・・・!と思って読んでいたら、語り手氏が自分でオチをつけてしまいましたかw いや、笑い事じゃないですね。あの映画における「死の運命」の執拗さ、そして生存者も続編で容赦なく刈り取る残酷さを考えると。
 ただ、映画と違って別の仕掛けがあるようにも見えるので、そこが突破口になるといいですね。
| 2015.12.20 22:45 | 編集
コメントありがとうございます
映画のシリーズは話はシンプルですが
あれって予知は何のためにあるのかちょっと疑問です
bigbossman | 2015.12.21 07:25 | 編集
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