神の介入

2015.12.20 (Sun)
自分が書く怖い話には、古神道のというか、
日本古来の不可思議な神様たちが出てくるものがかなり多いのですが、
さすがに一神教的な絶対神が登場するものはありません。
それは日本人として書くのはまず不可能だと思われます。
また、神の対立概念である悪魔の話も難しいですよね。
これを出して怖がらせるには、かなりの工夫が必要でしょう。

『エクソシスト』は、主人公の少女がエビ反りで歩いたり、
首が360度回ったり、そういう特殊効果の点ではウケましたが、
では、日本人があれを見て悪魔の側に取り込まれる恐怖を感じるかというと、
自分には疑問があります。
悪魔を扱った映画、古くは『オーメン』『ローズマリーの赤ちゃん』
『エンゼル・ハート』近年では『パラノーマル・アクティビティ』
なんかもそうですが、コケオドシ的な映画の技術をのぞけば、
日本人にとって心理的に怖いという感じはあまりない気がします。
やはり宗教文化の違いという他ないかもしれません。

さて、クリスマスから大晦日にかけて、世間は慌ただしく、
かつ賑わっていますが、西洋ではクリスマスストーリーの一つとして、
悲しいお話が書かれることがあります。
典型的なものとして『フランダースの犬』などがあげられるでしょう。
ストーリーには、かなりあざとい感じでクリスマスの日が絡められています。
この話を嫌う人は、そのあたりのことを言う場合が多いですね。

ネロとパトラッシュが小屋を追い出されたのは、吹雪のクリスマスイブでしたし、
またその日が、ネロのすべての希望を込めた、
絵画コンクールの発表の日でもあったわけです。
結果は落選(しかし後にネロの才能を認め養育しようというパトロンが現れる)
パトラッシュは雪の中で、追い出された風車小屋の主人の
全財産入りの財布を見つけて届ける。絶望して帰宅した風車小屋の主人は、
事情を聞いて、ネロに対し今まで行った数々のひどい仕打ちを後悔する。

ネロはパトラッシュとともに大聖堂におもむき、
見るのが念願であったルーベンスの絵を前にして、いっしょに凍死してしまう。
確かに、財布のエピソードなどは話として都合よすぎではありますが、
これも、登場人物のすべてが悔い改めるということが、
クリスマス・ストーリーとしては重要なのですね。

あとは、アンデルセンの高名な『マッチ売りの少女』
これは大晦日の話でしたか。一本ずつマッチを燃やしていった少女は、
最後に優しかったおばあさんの幻影を見て、翌朝、
燃えカスを抱えて微笑みながら死んでいるのを発見される。
この話については、「なぜこんな悲しいことを書くのか」
といった批判が多く寄せられたそうですし、『フランダースの犬』では、
結末がハッピーエンドになるように改変されて出版された国もあるようです。

しかしながら、これらの物語、オスカー・ワイルドの『幸福な王子』なども含めて、
児童文学であることに注意しなくてはなりません。
マッチ売りの少女もネロも、王子もツバメも、
最後には天使に迎えられる形で天国に入ります。
善良、正直、勤勉な生涯を送ったものは、最後には神の国に行く。
子どもたちへの教訓が含まれていますし、
死というものを宗教的に説いているとも言えるでしょう。

天使たちに抱えられて昇天するのは、けして悲しい結末ではなく、
むしろハッピーエンドと言っていいかもしれません。
そういう伝統の上で書かれたものなんですね。
日本では、江戸時代までは極楽往生の物語といって、
似たような形のものがありましたが、現代ではさすがに難しいと思われます。

どうしても大人になるにつれ、社会の現実的な側面が目に入るようになり、
『フランダースの犬』に対しては、「無力に死んでいった負け犬の話」
というような評もあるのです。これは難しいところで、
昨今は欧米でも無神論者が増えているようですし、
世の中は信仰だけで渡ってはいけませんからねえ。

さてさて、自分がアメリカにいたときに、テレビのドキュメンタリーで、
スリーマイル島原発事故のその後を追う、という内容の番組をやっていました。
公的には周辺住民への健康被害は微小であったとされていますが、
風下地域における乳幼児死亡率の増加などといったデータもあるようです。
その中で、周辺地区に住む子どものいる主婦がインタビューに答えていましたが、
「どうしてここに住み続けるのですか?」という記者の質問に対し、
「先祖代々の土地だし、ここに住むのは神のみ心だと思うから。
もしそれで早く死んだとしても、それだけ早く神のおそばに行けるからいい」
といったことを答えていたと記憶しています。

それを見ていて「ああ、信仰が残ってる人がいるんだなあ」と、
少し驚いたりもしたんですが、アメリカの田舎で教会の日曜学校に通い、
日々、寝る前や食事前のお祈りをしている家族に生まれた人はそうなんだろうなあ、
とも思いました。そのような文化の中にあれば、
最期に天使が迎えに来て天国に入る、また悪魔の誘惑に負けて魂を奪われる、
などのことも話として成り立つんでしょうね。

クイズ 何の映画のラストでしょう?





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コメント
bigbossmanさん、こんにちは!!^^

小学校入学前後に母に絵本を読んでもらったことを思い出しました。^^;フランダースの犬は、絵本の絵のタッチみたいなのをかすかに覚えています。あと、たしかクリスマスキャロル?は、あらすじも思い出せませんが^^;、、怖かった記憶がっ。

クイズは、、キャリー。(当てずっぽう。多分観てないし。m(__;m)
くわがたお | 2015.12.27 12:28 | 編集
コメントありがとうございます
クリスマスキャロルはなかなか怖く
深みのあるお話だったと思います
まあ文豪と呼ばれる人が書いたものですから当然ですか
クイズは正解です おみごと
bigbossman | 2015.12.27 22:59 | 編集
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