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三年寝太郎の教訓

2019.06.07 (Fri)
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今回はこういうお題でいきます。変な内容で、カテゴリもよく
わかりません。「三年寝太郎」という民話がありますよね。
全国各地でいろいろなバージョンが伝わっていますが、
まとめるとだいたいこんな内容です。

「干ばつに苦しんでいた村で3年間眠り続け、寝太郎と呼ばれた男がいた。
仕事を何もせず、母親だけを働かせ、ただひたすら寝続けていた
寝太郎に周囲の者は怒っていたが、ある日、寝太郎は突然起き出し、
山に上って巨石を動かし、その巨石が谷に転がって他の石も動かし、
ついには川をせき止め、川の水が田畑に流れ込んで村は救われた。」

あと、「庄屋の息子だった寝太郎が、3年目に起き上がり
千石船とそれにいっぱいの草鞋を買ってくれという。親の庄屋が
頼みを聞き買ってやると、寝太郎は草鞋を積んだ千石船で佐渡ヶ島に
向かい、金山の人足の草鞋を無料でとり替えた。戻ってきた寝太郎が、
草鞋を洗うとたくさんの砂金がとれ、大儲けになった。」

4年に一度だけ起きてくる男 『こちら葛飾区亀有公園前派出所 』
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どっちも妙なお話ですよね。こういった昔話には何かしらの教訓が
含まれてることが多いものですが、何を言いたいのか、いまいち
はっきりしません。自分は昔から疑問に思っていて、
ネットで「三年寝太郎 教訓」で引いてみるとあれこれ出てきました。
これ、同じように疑問に思ってた人がいるんですね。

あるサイトでは、「人は見かけによらない」と出ていました。
怠け者の見本のような寝太郎ですが、じつは大人物であり、
その人の見かけや行動だけで判断してはいけない・・・いや、でも、
見かけはともかく、人をその行動で判断するのは当然な気がしますし、
寝ている時点では、寝太郎が村を救うことはわからないですしねえ。

別のサイトでは、「非努力的な問題解決力の大切さ」
こんなことが書いてました。これはわからなくもありません。
日本人は額に汗して働くことを一番に評価する向きがありますが、
頭を使うことが大事だということなんでしょう。寝太郎が毎日
寝ていたことになっているのは、それを強調するため。

「人柱」の様子
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中にはひじょうに面白いことが書いてあるサイトもあって、
じつは寝太郎は日照りに苦しむ村で雨乞いのための人柱にされた!という
内容でした。村の中で一番の怠け者が生贄に選ばれるのは当然で、
その後、寝太郎の話は改変され、美談として伝えられるようになった。
いや、これいいですね。たいへん気に入りました。

ただ、民話というのは、必ずしも教訓があるだけではないんですね。
昔の人々の願望が、中に練り込まれていることもあります。
この話の場合、当時の農村の人たちは寝太郎のようにしてみたかった
んじゃないでしょうか。毎日の野良稼ぎに行かず、
ごろごろしていても最後にはハッピーになれるという。

さて、少し話変わって、寝太郎はじつは鬱だったという話があります。
本当は起き上がって仕事に行きたいのだが、それができず、
のん気に寝ているように見えて、じつは布団の中で悶々と苦悩していた。
まあ、そういうこともあるかもしれません。

独身者と既婚者の平均余命
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たしか作家の坂口安吾だったと思いますが、覚醒剤のヒロポンと
睡眠薬の飲み過ぎから鬱症状になり、まったく仕事ができなくなった。
自殺も考えたほどだったが、その期間中「三年寝太郎」の話を
思い出し、いつか俺も起き上がって大仕事をやってやる、
そう考えて耐えていたと随筆に書いていました。

この他にも、寝太郎は「ぶらぶら病」だったという話もあります。
腎臓病やその他、倦怠感が強くて起き上がることができないという
病気はいろいろありますが、昔の医学では診断がつかず治療法もない。
それが寝ている間に自然治癒したというわけです。

さて、みなさんはどうでしょうか。寝太郎のように暮らしたいでしょうか。
でも、前に少し書きましたが、睡眠時間が9時間を超えると、
睡眠時間が少ないよりも、さらに死亡リスクが高くなるんですよね。
これはアメリカの研究ですが、40歳時点で既婚者と独身者の
平均余命を比較したところ、独身者のほうが8年も短かった。

ずっと寝ていると本当に寝たきりになる
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また、働いている人と無職の人の死亡リスクを比較した場合、
無職のほうが30%もリスクが高かったという結果も出ているんです。
つまり、独身ヒキニトは早死するということですが、
これも一種の自然淘汰なのかもしれません。

あと、寝ていることが体に悪いのは明らかです。ずっと横になった状態でいると
筋力は1週間で10~15%落ちるそうです。骨も弱くなり、骨密度が低下。
さらに心拍数はあがり、血糖値は下がり、血中の酸素濃度も低下することから、
体がつねに酸素不足となり、疲れやすくなるなど、
いいことは一つもないみたいです。

スタンディングデスク
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これもこの間ちょっと書きましたが、長時間座った状態で仕事をしているだけで、
立って仕事をしている人と比較して、かなり死亡リスクが高くなります。
そのためアメリカではIT企業を中心に、立って仕事ができる
スタンディングデスクの導入が急ピッチで進められているんです。

さてさて、寝太郎について書いてみましたが、日本で引きこもりが
問題化してずいぶん長い年月がたっています。この間、大きな事件も起きましたし、
そろそろ政府が本腰を入れて解決していかなくてはならないと思いますが、
お役人仕事ではダメでしょうね。寝太郎のような斬新な発想が
必要かもしれません。では、今回はこのへんで。

関連記事 『睡眠のオカルト』




懐手3人衆の話

2019.05.31 (Fri)
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和服での「懐手」ポーズ

今回はこういうお題でいきます。だた、最後のほうに少しだけ
出てはきますが、あんまりオカルトとは関係ない内容なので、
スルーされたほうがいいかもしれません。さて、懐手というと、
基本的に和服のときにやりますよね。上の画像のように両腕を袖から出さず、
懐の中に入れておくことです。

当然、和服にはポケットがありませんし、懐に手を入れていると暖かく
楽です。「懐手をする」という慣用句にもなっていて、
「人にまかせて、何もしないこと」という意味で使われます。
で、和服の場合はいいんですが、洋服で懐手をするのは難しいですよね。

スーツの合わせ目やチョッキの中に、無理やり手を突っ込まないと
いけません。ですが、肖像画がその懐手ポーズで有名な人物がいます。
ナポレオン・ボナパルトその人です。ナポレオンの名前は
みなさんご存知でしょうが、具体的な業績をくわしく知ってる人は
少ないんじゃないでしょうか。

フランス革命により大混乱に陥ったフランス国内を収拾して
独裁政権を築き、ナポレオン戦争を引き起こして、イギリスをのぞく
ヨーロッパの大部分を影響下に置きました。しかしながら、
最終的に対仏大同盟との戦いに敗北し、流刑地のイギリス領
セントヘレナで亡くなっています。

アルプス越えをするナポレオンの勇姿
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ナポレオンの評価については毀誉褒貶がありますが、フランス第一帝政の
皇帝に即位したことを批判されることが多いんじゃないでしょうか。
せっかく革命でルイ16世ら王族を処刑したのに、
自分がそれにとってかわるように、絶対的な権力の座についたわけですから。

ベートーベンの「交響曲第3番 英雄」は、ナポレオンへの共感から、
ナポレオンを讃える曲として作曲されました。ですが、完成後まもなく
ナポレオンが皇帝に即位し、その知らせに激怒したベートーヴェンは、
「やつも俗物に過ぎなかったか」とナポレオンへの献辞の書かれた表紙を
破り捨てた、というエピソードがよく知られています。

さて、下図がその肖像画です。無理やりチョッキの中に手を突っ込んで
いるのがわかります。なんでナポレオンはこういうポーズをとっているのか。
まあ、正確なことはわからないんですが、一説には、
ストレス性胃炎を患っていたため、自分の胃を押さえているとされます。

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たしかにいろいろ心労はあったと思いますし、それは政治・軍事面だけ
ではなく、私生活でも妻のジョゼフィーヌの浪費と浮気に悩まされていたので、
胃炎説はぜったいありえないとは言えないと思います。
ナポレオンは1821年、セントヘレナ島で亡くなりますが、その死因は
胃癌であったと、遺体を返還されたフランス政府から公式に発表されています。

さて、懐手の人物の2人目は、坂本龍馬です。下図は高知県桂浜にある銅像で、
右手を懐に入れた写真をもとに作られています。ただ、和服の懐手というのは、
最初の三船敏郎の画像のような形で、竜馬のはちょっと違います。
で、この懐手について4つの説があるんですね。

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① 懐にピストルを入れていて、いつでも抜けるようにしている。
② 懐には「万国公法」が入っており、竜馬の開明的な性格を象徴している。
③ 寺田屋で手に深手を負っており、その傷をかばっているうちに癖になった。
④ 竜馬はフランス革命について勉強し、ナポレオンを尊敬していたから。

まあ、この中で最も言われているのは③でしょうね。
寺田屋で竜馬は幕府の捕り方2人を射殺し、数名に傷を負わせていますが、
そのときに刀をピストルで払ったため、両手の親指を負傷しています。
ただ、もう一つ、これについての⑤のオカルト説があるんです。

懐手の最後の人物は、伊藤博文です。日本の初代総理大臣として有名ですね。
前の2人のように肖像や写真には残っていませんが、
洋装でも懐手をするのを好んでいたという話があります。これについては、
ナポレオンを尊敬していたためポーズを真似ている、と言われることが多いですね。

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で、この3名、共通点があります。坂本龍馬、伊藤博文は暗殺されていますし、
ナポレオンも暗殺説が出ています。竜馬は中岡慎太郎と京都近江屋に滞在中、
刺客に襲われて即死。犯人は諸説あるんですが、京都見廻組の手による
というのが通説になっています。また伊藤は、ハルビン駅で、
大韓帝国の民族運動家、テロリストの安重根によって射殺されました。

ナポレオンについては、前述したように、死因は病死が公式なんですが、
後年、その頭髪を分析した結果、ヒ素が発見されたことから、
彼を幽閉していたイギリスの手によって暗殺されたという説も根強く
ささやかれています。これはナポレオン本人が臨終に際して、
「私はイギリスに暗殺されたのだ」と述べたことも大きんですね。

関連記事 『歴史を変えた重金属』

さてさて、ここからはオカルト話になります。それは、
この3人、じつは秘密結社フリーメーソンのメンバーだったというものです。
フリーメーソンは、16世紀後半に結成された実体のよくわからない友愛結社で、
その勢力を世界中に拡大し、有力な人物を多数抱えて、世界の歴史を
裏から操っているなどとも言われます。まあ、オカルト陰謀論の一つです。

フリーメーソンのシンボル
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で、フリーメーソンには、他の結社員にわかるように決まったポースがあり、
それが懐手だったというんです(笑) 。みなさんはどうお思いに
なりますでしょうか。「そんなバカな」というのは正常な反応で、
この3人について、メーソンのメンバーであった証拠は一切ないんですが、
話としてはなかなか面白いと思いませんか。では、今回はこのへんで。







「アルケー」って何?

2019.04.28 (Sun)
今回はこういうお題でいきます。「アルケー」という語を聞かれた
ことがある方は少ないと思います。これは、古代ギリシアの自然哲学で
「万物の根源」を指しています。すべての自然を生み出す源、
世界をつくりだしている根源的な要素、と言っていいかもしれません。

さて、古代ギリシアからエーゲ海をはさんだ対岸(現在のトルコ)は、
イオニア地方と呼ばれ、ギリシア人の植民都市がありました。
ここでは、宇宙や生命の成り立ちを神話によらず説明しようとする
学問が生まれ、それを「イオニア学派」と言います。

イオニア学派を興したのは、タレスと言って前6世紀の人物です。
みなさんは中学生のときに、「半円に内接する角は直角である」
という定理を勉強されたと思います。これを考え出したのが
タレスであるとされています。また、天文学にも精通し、
日食が起きる期日を予言したとも言われます。

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で、このタレスがつくりだした概念がアルケーなんですね。
タレスは万物の根源であるアルケーは水だと考えました。たしかに、
人間の体のほとんどが水分ですので、この考え方は理解できます。
川や海、雨や雲など、自然界には水が満ち満ちています。

その他、ヘラクレイトスは火を、ピタゴラスは数をアルケーとしました。
また、デモクリトスは万物の根源として「アトモス」を考え、
これは「最小の単位にして、それ以上分割できないもの」という意味ですが、
現在使われている科学用語「原子 atom」の語源になっています。

ただ、だんだんにギリシア哲学が進むにつれて、
一つのものからすべてが生まれるという考え方には無理があるのではないか
という論が出てきました。例えば、水がアルケーだとして、
石などの鉱物には水は含まれていないように見えますよね。

エンペドクレス
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そこで出てきたのが「四大元素説」で、始めに提唱したのは、
前5世紀のエンペドクレスという人物です。
エンペドクレスが考えた四大元素は「水・火・土・空気(風)」でした。
彼はこれらの4つを「リゾーマタ rizomata」と呼び、
すべてのものは、この4つの結合と分離からできていると説明します。

ちなみに、みなさんの中には、ファンタジー小説で、火の精霊、水の精霊
などが出てくるものを読まれたことがある方がおられると思いますが、
あれも四大元素説をもとにして想像され、伝説化したものです。
四大元素説はギリシア時代に続く古代ローマ時代に受け継がれましたが、
キリスト教の登場でいったん下火になってしまいます。

古代ギリシアの四大元素説
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その理由はおわかりだと思います。キリスト教では、
万物の根源となるものは「神」なんですね。神がすべてを創り、定め、
支配する。ということで、ヨーロッパ地方は自然哲学にとっては
暗黒の時代になってしまいました。ですが、ギリシア・ローマ時代の
考え方はイスラム社会で継承され、独自の発展をとげます。

そしてその知識が、12世紀から始まる十字軍遠征によって
再発見されることになります。何度か記事に書いたんですが、
ヨーロッパで錬金術が盛んになるのは、この十字軍遠征以降なんですね。
錬金術は、卑金属から金をつくりだそうとするもので、
基本的に、四大元素説にしたがって実験が行われました。

アントワーヌ・ラヴォアジェ
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さて、それから長い年月がたち、はじめて四大元素説を否定したのは、
17世紀の化学者にして錬金術師、ロバート・ボイルであるとされます。
ボイルがいくら四大元素説にしたがって実験をくり返しても、
金はできなかったからです。18世紀に入ると、すべてのものは
「元素」から成り立っているということが、だんだんにわかってきました。

元素周期律表
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アントワーヌ・ラヴォアジェが、著書で33の元素と「質量保存の法則」
を発表したことが、錬金術の終焉、近代化学の始まりとされています。
そして、元素の実質は「原子」であると考えられるようになりましたが、
原子の存在が広く認められるようになったのは20世紀の初頭、
ちょうどアインシュタインが一般相対性理論を発表した頃です。

ということで、古代ギリシアの時代から、長い長い期間をかけて、
物質は原子からできているということが判明したわけです。
さらに、原子はもっと小さく分けることができるのではないかという
考えが出てきました。ただし、これには強い批判もあったんです。

みなさんは中学校で、原子は原子核の周囲を電子が回る構造を持つ
ことを学習しましたよね。そして、原子核はさらに、
素粒子の組み合わせからできていることが判明します。
クオークやレプトンなどのことです。では、素粒子をさらに分割した
最小単位があるのか。これは現在の科学ではわかっていません。

素粒子からできている原子核
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超ひも理論では、素粒子は振動するひもとして説明されますが、
そのひもが万物の最終単位であると言っているわけではありません。
万物の最終的な単位があるのかどうか、
プランク長という限界があるので、なんとも言えないんです。

さてさて、では、素粒子はいったいどうやってできたんでしょう。
これは、特異点から始まったとされるビッグバン直後のごくごく短い時間に
できたと考えられます。そうすると、万物の根源である「アルケー」は、
物質ではなくビッグバンだったと考えたほうがいいのかもしれません。
では、今回はこのへんで。





「無」についての妄想

2019.04.05 (Fri)
今回はこういうお題でいきます。これ、じつに難しい話で、
自分には手にあまる内容です。ですから、あちこちに間違いが
あるんじゃないかと思いますので、そのつもりでお読みくださるか、
スルーしていただけたらと思います。

さて、あるアンケートで日本人に、「死後の世界はあるか」という
設問をしたところ、「霊界または別の世界がある」と答えた人が35%、
「意識も魂も何もかもなくなる」という回答が65%でした。
つまり、日本人では、死ぬと「無」になると考えている人が
多いということになります。

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ただ、じゃあ「無」って何か? とあらためて聞かれると、
これは答えにくいですよね。ネット辞書で「無」を引いてみると、
「何もないこと。存在しないこと。対義語は有」と出てきます。
でも、これをみて「無」を理解できるかというと、
難しいんじゃないでしょうか。

ということで、「無」について考えてみたいと思いますが、
哲学はとうてい自分には無理なので、物理学でいきます。
物理学では、「無」と「絶対無」の概念があると、自分は「ニュートン」
という科学雑誌で読みました。それによると、「無」には空間と時間はあるが、
そこに物質が存在しない世界と書かれていましたね。

つまり、「無=真空」ということなんです。量子力学が発展するにつれて、
真空の概念は変化してきました。現在では、真空の空間には、
じつは電子と陽電子(粒子と反粒子)がぎっしり詰まっているとされます。
電子と陽電子は互いに打ち消し合っているので、
一見して、そこになにもないように見えるわけです。



ですが、ときどき電子と陽電子がペアで真空からぽっと飛び出す。
これを対生成といいます。こうして生まれてきたペアは、すぐに互いに
打ち消し合い(対消滅)、また、何もない真空の空間に戻ります。
これを「真空のゆらぎ」と言いますが、
それだと、真空はエネルギーを持っていることになります。

ダークエネルギーという言葉がありますね。天体望遠鏡により、
宇宙の膨張が加速していることが観察されました。この事実を説明するため、
宇宙全体には、いちように見えないエネルギーが充満している
という仮説が立てられ、それをダークエネルギーと呼ぶことにしました。
このダークエネルギーの候補の一つが、上記した真空のエネルギーなんですね。

真空のエネルギーについては、東洋思想と関連して語る人もいます。
古代中国の思想では、無は別名「太極」とも言いますが、
陰と陽とが互いに相手を飲み込もうとする太極図で示されます。
これが、真空のゆらぎにそっくりな考え方だということです。
おっと、今回は東洋思想には深入りしません。

太極図
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次に、「絶対無」のほうに移ります。宇宙論では、この宇宙は
ビッグバンによって始まったとされています。それにより空間や時間が
できました。では、ビッグバン以前はどうなっていたかというと、
これが「絶対無」なんですね。本当に何もない。

また、ビッグバンで始まった宇宙は、下の図のように描かれることが多く、
風船に例えて説明される場合もあります。プーッと膨らませている
途中の風船の中が、われわれの住む宇宙というわけです。
そうすると、どうしても「じゃあ、風船の外側はどうなっているの?」
と聞きたくなりますよね。

ビッグバンのイメージ この黒い部分は何?
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ですが、その答えとして、「宇宙に外側はない」
と説明されることが多いんです。これも絶対無です。
もしかしたら、風船の例えが悪いのかもしれません。それだと、
やはりゴムの内側と外側というふうに連想してしまいますが、
じつは、この宇宙には、裏も表もないのかもしれないんです。

「メビウスの輪」というのをご存知だと思います。その上をどんどん
歩いていくと、いつの間にか裏と表を一周してもとの場所に戻ってくる。
この宇宙の構造もまた、そういう形で閉じているのかもしれないんですね。
でも、そうだとしても、じゃあメビウスの輪はどこに浮いてるの?
と言いたくなりませんか。

これは「クラインの壺」
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ひとつの考え方として、われわれの宇宙の外側には、
物理法則の異なった別の宇宙がある可能性が指摘されています。
「マルチバース」と言うんですが、これでも自分は納得できません。
みなさんはどうでしょうか。別の宇宙が無限に続いてるのでなければ、
やっぱり外側ってあるんじゃないでしょうか。

マルチバースのイメージ
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また、超弦理論を発展させた「M理論」では、この宇宙は、
ブレーンという一種の膜のようなものにはりついているとされます。
そして、膜はわれわれの膜の向かい側にもう一つあり、
この膜どうしがぶつかり合うことでビッグバンが起きるとも説明されます。
じゃあ、ブレーンはどこに浮いてるの?(笑)

ブレーンワールドのイメージ
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さてさて、わけがわからなくなってきたので、そろそろやめますが、
われわれが「絶対無」を想像するのは、すごく難しいんです。
人間はどうしても、自分を中心に物事を考えてしまいます。
自分からみて、「今日は時間がある」とか、
「財布にお金がない」という言い方をしますよね。

ところが、自分どころか、この宇宙自体がない、さらに空間も時間もない。
そういう世界を頭に思い描くのは無理なんじゃないかという気が
してきました。物理学では、「絶対無について考えるのは意味がない」
と言われるようですが、やはりそれが正しいんでしょう。
では、今回はこのへんで。






難しい話

2019.03.26 (Tue)
宇宙際タイヒミュラー理論のイメージ
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今回はこういうお題でいきます。当ブログは基本的に、自分が書いた
怖い話やバカ話、それとオカルト関連の内容なんですが、
その他に科学的な話題や歴史についても取り上げています。
ただし、何でもかんでもということではなく、
そこに「謎と不思議」があるもの限定です。

ただ、自分は市井の一介の占い師ですので、取り上げようと思っても
内容が理解できなくて断念してしまう場合もあるんですね。
最近では、「宇宙際タイヒミュラー理論」という数学の理論について
書こうとしたんですが、まったくダメでした。

これは、京都大学の望月新一教授が2012年にインターネット上で
発表したもので、数学の代表的な未解決問題である「ABC予想」は、
この理論を用いて解決することができるとされています。
ABC予想だけでなく、さまざまな数論の問題に応用できるもののようです。

で、自分もインターネット上の英文の論文を読んではみたんですが、
これが全然理解できないんですね。膨大な論文の最初のほうの
1ページだけでも、というか、どの1行を見ても、
何を言ってるのかまったくわからず、ただただ驚くばかりでした。

望月新一教授
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「宇宙際」とは、「Inter-universal 」を訳したもので、
(国際が inter-national) もっと簡単に言うと、
「宇宙を股にかける」といった意味なんだと思います。
この場合の宇宙というのは、天体物理学でいう、銀河なんかがある本物の
宇宙ではなく、特定の数学的領域のことみたいです。

ある問題を、数学的に別の領域に持っていって、
劇的に簡略化した形に変換して解く・・・それが、
まるで物理法則の異なる宇宙を行き来してるみたいなので、
「宇宙際」ということなんだと思いましたが、違うかもしれません(笑)。
ということで、自分には理解不能と考えてあきらめたんです。

ただ、これは自分だけのことではなく、世界の代表的な数学者でも、
理解できる人はごくごく少数のようですし、
ネット掲示板「5ちゃんねる」では、この理論についての
スレが何本も立ったんですが、自分が読むかぎり、
ほんの少しでも理解できていると思われる人は皆無でした。

もう、この理論が発表されてから7年目になるわけですが、いくつか
サーベイ論文(ある主題に対して、現在どこまで理解されているかを
解説したもの)は出ているものの、周知が進んでいるとは
とても言い難い状況です。もしこの理論が正しいとしても、
共有化されるまでには10年レベルでかかりそうです。

あと、そうですね。ネアンデルタール人なんかの話も書こうとしたものの、
ちょっと怖くて断念しました。自分は大学で考古学を専攻しまして、
人類学は親戚と言っていいほど近い分野なんですが、
ネアンデルタール人などのヒト属については、
現在、革命的に理解が進んできているところなんですね。

ネアンデルタール人
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なぜかというと、化石から得られたミトコンドリアDNAの
解析が進んでいるためです。これにより、昔からあった学説の多くが
ひっくり返ってしまいました。一例ですが、かつてはネアンデルタール人は
ホモ・サピエンスの祖先とする説が有力でしたが、
解析結果から、別系統の人類と見られるようになってきています。

ですから、素人の自分なんかは、怖くてなかなかものが言えない状況です。
ただ、今後は、従来の人類学的な手法よりも正確な、
分子生物学的な知見がどんどん出てくると思われますので、
科学ニュースには注目していきたいと思っています。

さて、上でも書いたように自分は考古学を専攻しまして、
これは文系の分野なんですが、地質や地層の知識は必須ですし、
遺跡の発掘時には測量もします。また、遺物を保存する際には、
アルコールや窒素なども使うので、理系的な面もあわせ持っています。

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で、文系と理系の内容のどっちが難しいかというと、
自分はどっちも大変だなあと思ってます。例えば、宇宙論だと
「宇宙の膨張は、どうして加速してきているのか?」とか、
ある程度の仮説は立てることができますが、
正しいのかどうか証拠がほとんどないんですね。

文系だと、「霊魂と神の概念は、どちらが先にできたのか?」
こういうのも難しいですよね。地域や集団でも違ってきますし、
ビッグデータを使っても、なかなかまとまったことが言えません。
理系とは別の困難があるんです。

さてさて、ということで、毎回えらそうなことを書いてますが、
自分の知的な限界のために取り上げることができないニュースは
いろいろあります。まあ、これならなんとかなりそうだ、
というのを選んでお題にしているわけです。

ところで、最初に書いた「宇宙際タイヒミュラー理論」について、
当ブログの読者の方で、どなたか詳しい方はおられますでしょうか。
できましたら、コメント欄でご教示いただけたら
ありがたいです。では、今回はこのへんで。